https://news.yahoo.co.jp/articles/73e61662b17faf7ccaa3b4d691ba88a766b21319
お外で懸命に生きてきた6匹の猫たち激しく威嚇する心の氷を溶かしたのは時間と飼い主さんの愛情だった
「最初は警戒心の強かった子も今では心を開き、懐いてくれています。諦めず、目の前の猫ととことん向き合い、愛情を注いで接すれば、いつか必ず気持ちは伝わると思う」
そう語るのは、まるくん(茶白)、むぎちゃん(茶トラ)、茶太郎くん(茶トラ)、クロくん(白黒)、バロンくん(白)、茶々丸くん(茶トラ)という6匹の猫と暮らすあゆみさん(@spica_atelier)。6匹はみな、過酷な環境を生き抜いてきた元野良猫です。
■1匹の野良猫との出会いによって保護活動に目覚めた
あゆみさんが猫を保護するようになったのは、1匹の野良猫との出会いがきっかけ。当時、いとこから託された猫を18歳で亡くし、再び猫と暮らしたいと思うようになったあゆみさんは保護猫を迎えようと、ネットで里親募集を見ていました。
そんな時、愛車の天井に乗る野良猫を目撃。頬がこけるほど痩せ、被毛も汚れていたため、ご飯をあげるようになりました。
それから、しばらく経ったある日。子猫の里親募集があるとの声かけが。最初は応募するつもりでしたが、家に訪ねてくる野良猫の未来を考えた結果、子猫なら他に里親が見つかる可能性が高いと思ったため、野良猫を保護。以後、個人で野良猫を保護するようになりました。
現在、共に暮らしている6匹の愛猫は足を引きづっていたり、ガリガリにやせ細っていたりと、みなボロボロの状態で保護。
その中でも一番、保護に苦戦したのが、背骨が浮き出るほど痩せていたむぎちゃん。
あゆみさんはある日、自宅から少し離れた場所で何度か見かけていたむぎちゃんがマンションの駐車場でうずくまっているのを発見。車を停められるスペースがなかったため、一度帰宅し、猫用おやつやキャリーケースを持って徒歩で現場へ。
むぎちゃんはおやつを食べてくれたものの、警戒して逃走。それから10日ほど会えない日々が続きましたが、ある日、もといた場所から少し離れた住宅地でうずくまっているところを発見。
車に常備していた猫用おやつをあげると、前に貰ったことを覚えていたのか、近づいてきてくれました。
「住人の方が出てきて、少し前から来るようになったと教えてくれました。できたら保護してあげてと言われましたが、当時、自宅にはすでに猫がおり、単頭飼いしか経験したことがなかったので多頭飼いに不安がありました」
けれど、命を救いたいという気持ちが勝ったため、お迎えの準備をすることに。数日間、住人の方にご飯をお願いし、数週間かけて保護しました。
なお、保護後、動物病院へ連れていくと、むぎちゃんは脱水や栄養失調で猫風邪、重度の口内炎・歯肉炎を患っていることが判明。
「もう少し遅ければ、命を落としていたと言われました。現在も、口内炎は治療中。ドライフードは角が口の中に当たらないよう、粉状に砕き、ウエットフードに混ぜて食べてもらっています。他の子たちも味の好き嫌いを考慮し、ご飯をブレンドしています」
そんな配慮を行うあゆみさんは野良猫を家族として迎える際、新しい環境に必要以上に警戒しないよう、優しい工夫も行っていました。例えば、保護後は不妊手術を終えたら、周りをバスタオルや布で覆ったケージの中に入ってもらい、安心感を得てもらっていたのだそう。
「警戒心が増さないよう、ご飯やトイレ掃除などのお世話以外は構わないを徹底。環境に慣れてきたら、バスタオルや布を少しずつ上にあげ、ケージの外が見えるようにし、覆わなくても食事やトイレができるようにしていきました」
また、新入り猫を迎え入れた際はケージ内での暮らしに慣れてきたタイミングで、ケージのまま移動させ、他の猫たちと対面。
「みんなそれぞれ違う境遇や心の傷を抱えてうちに来ていますが、猫同士うまく折り合いをつけてくれているようで、今まで大きな喧嘩をしたことはありません」
■大人の野良猫だって愛せば、心を開いてくれる
あゆみさんが声を大にして伝えたいのは、愛情を注げば元野良猫でも心を開いてくれるのだということ。
実はあゆみさん自身、野良猫を保護した後、激しく威嚇され続け、心が折れかけたことがあったのだそう。獣医師から、「成猫は自我が芽生えており、野良猫の成猫となると懐かせるのは難しい。猫が家にいても触れられないとなると、人間が癒されず、ストレスを感じることになる」と言われた時には、何のために野良猫を保護するのかと自問自答したこともありました。
しかし、ある時、猫目線に立ってみて、考え方が変化。