「NYに核攻撃があったら」動画が物議 市当局が突如公表、市民「笑ってしまった」 市長「ウクライナ侵攻で措置」
米最大都市ニューヨーク市が７月、核攻撃があった場合の対処を指南する市民向けの動画を突如として公表し、物議を醸している。ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が核兵器使用をちらつかせる中、公開のタイミングに不安の声も。アダムズ市長は「用心して、し過ぎることはない」と主張するが、動画の内容自体が現実味に乏しいとの指摘も出ている。
◆窓を閉め、放射能除去のシャワーを浴びて…
ニューヨーク市の緊急事態管理部門が７月１１日にＹｏｕＴｕｂｅなどで公表した動画は１分３０秒。市民への呼び掛けは大きく３点あり、核攻撃があった場合は迅速に建物の中に入る▽窓やドアを閉めて放射能除去のためシャワーを浴びる▽市やメディアから情報を得て安全が確認されるまで外に出ない―といった内容だ。女性の説明役が字幕とともに訴える。
米大都市が核攻撃を想定した具体的な注意を動画で呼びかけるのは異例で、再生回数は公開から１０日で８０万回を突破。緊急事態管理部門が提供する他の動画の数百回程度をはるかに上回っている。
◆なぜ今なのか説明なく「どこまで真剣に受け取っていいか」
大きな反響の理由は、動画を公開したタイミングにもある。市内に住む大学職員グアダルペ・サンチェズさん（２６）は取材に「ロシアのウクライナ侵攻で国際情勢が緊張している。市からは今なぜ公開したのかという市民へのはっきりとした説明がなく、混乱している」と不安を漏らした。
実際、アダムズ市長は記者会見で「差し迫った脅威はない」と述べる一方、「ウクライナ侵攻を受け、緊急事態管理部門は積極的な措置を講じた。ニューヨーカーは備える必要がある」とも強調した。「事態をどこまで真剣に受け取っていいのか分からない」とサンチェズさん。
動画が３つの呼び掛け以外の情報をほとんど伝えないことも波紋を広げた。
説明役の女性は冒頭、荒廃した街角でサイレンが鳴り響く中、「何がどうしたとか聞かないで。とにかく大きな核攻撃があった。オーケー？」としか状況を説明しない。メッセージを言い終わった後は「君ならできる」と言って立ち去るだけだ。研究職イデス・カンパナさん（２６）は「最初は何かの風刺かと思ったが、本当の市の広報だと知って笑ってしまった」。
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