ウクライナ、南部で反転攻勢 新型兵器が威力

ウクライナ軍は28日、南部のロシア軍占領地を奪還すべくヘルソン州で反転攻勢を強めた。米国が供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」など米欧の新型兵器が前線に順次到着し、威力を発揮している。ほぼ膠着(こうちゃく)状態が続いてきた戦況に変化が起きるかが注視されている。

ウクライナのメディアによると、ウクライナ軍はこのほど、ドニエプル川に架かるアントノフ大橋をハイマースで攻撃し、一部を破壊した。露軍への補給路を断つ狙いがある。焦点となっているヘルソン州はドニエプル川の河口に位置し、ロシアが併合したクリミア半島に隣接する水源地でもある。英国防省によると、ウクライナ軍の攻撃により、露軍が占領する州都ヘルソンは他の露支配地から孤立したとみられる。

ウクライナ軍は今月中旬、露軍がウクライナ国内に設けた30カ所以上の弾薬庫などをハイマースや他の多連装ロケットシステムで破壊したと発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、ヘルソン州奪還に向けて「軍が一歩ずつ移動している」と述べ、反転攻勢を示唆していた。

米ホワイトハウスは22日、ウクライナへの2億7千万ドル(約370億円)相当の兵器の追加供与を発表しており、ウクライナ軍のハイマースは総計20基になるとみられる。露経済紙RBKは6月下旬、カナダやイタリアの昨年1年分の軍事支出を超える額の兵器が米欧からウクライナに投入されていると報じた。

https://www.sankei.com/article/20220728-STHWAX3JRFKTLE5KVVVUQHB32M/?outputType=amp