確かに、世界中の中央銀行の金融緩和によって、「新型コロナショック」は一見、最悪の状態を免れたのかもしれません。
しかし、ロジャーズ氏はそんな都合のいい状況が続くわけはないと言います。

「しかし、これは若い人たちにとっては、悲劇的とも言える悪い事態だ。私のような高齢者はこの代償を払う必要はない。
なぜなら次の大暴落が来たときには、おそらくもうこの世にいないか、残りの人生の時間はきわめて短いからだ」

「お金を印刷し続ければ続けるほど、次の大暴落は、よりひどいものになる。そして、数多くの国家が痛手を負うことになるが、
その中で一番ダメージを被るのは日本になる。なぜなら、日本の出生率は低く、外国人をほとんど受け入れておらず、
日本銀行は今もなお大規模な緩和を続けているからだ。巨額のお金を刷れば、それだけ通貨の価値は下落する。
そして、円安のデメリットは、若い人に対してより重いものになる」

「コロナ給付金」「Go Toキャンペーン」など、大規模なバラマキに思うところがあった人もいるでしょう。
日本だけではなく、欧米諸国でも金融緩和政策だけでなく、度重なる大規模な財政出動が行われました。
ロジャーズ氏はその中でも異例の長期にわたる日本の金融政策について心配をしています。
これだけの緩和を続けてきた先進国の中央銀行は過去にないからです。

「日本に関して言えば、いくら日銀が株や債券を操作しても、相場参加者のほとんどが『日銀は信頼できない』と感じており、
円を売り込んでいる。長い間、円は安全通貨であり、他の通貨よりも安定していると考えられていた。
だが、最近になってマーケットは日本に対して不信感を募らせている。
日銀が何を言っても、マーケットはもう日銀の言葉や行動を信用することはないだろう」

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