アルバイト募集で「外国人お断り」? 元従業員の“差別告発”に、会社はどう答えたか 
10年以上たった今も「ストレスで眠れない時がある」
2022/8/4 10:00 (JST)

 全国展開する製パン店「アンデルセン」で約10年前、アルバイト募集の際に中国人を断る差別があったと、当時アルバイトとして働いていた女性がブログで告発した。企業の採用差別を巡っては、牛丼チェーンの吉野家が問題になったばかり。吉野家は今年5月、採用説明会に予約した学生を外国籍と判断し、参加を断っていたことが発覚して、批判を浴びた。

 だが、今回の告発は年数がたっていて、事実確認は難しい。アンデルセンはどう答えるのか、取材した。(共同通信ヘイト問題取材班)
 

 ▽職場に「断ること」の貼り紙

 ブログに告発文が公開されたのは7月4日。「ベーカリーショップ『アンデルセン』で起こった民族差別について告発します」とのタイトルだった。

アンデルセンは1967年創業の広島アンデルセン(広島市)を旗艦店に、全国展開する老舗のパン屋。告発は、アンデルセン京都伊勢丹店(京都市)で2011年8月ごろに差別事件があったとしている。

 ブログに書かれてある概要はこうだ。

 店に勤務する社員が、中国人からのバイトの応募は断るように従業員に伝え、店の電話機の付近に「中国人は断ること」と貼り紙をした。疑問に思ったアルバイトの女性は、社員に「国籍を理由に採用を断るなんて差別でしょう」と訴えた。

 社員は「中国人のバイト志望は断れ、という決まりですので…」と答えた。では、どう中国人と判断するのか? 別のアルバイトは「李さんとか、名前で分かりますよね」。女性が、李は韓国人にもいると指摘すると、さっきとは別のアルバイトが「韓国人も駄目でしょ」と言い放った。

 女性は職場で明かしていなかったが、日本名で暮らす在日韓国人。「じゃあ私は韓国人ですので、この職場から即刻離れます」と伝えた。

 しばらくして、社員たちから電話やメールで連絡があり、謝罪を受けた。差別についての社員の説明は以下のようなものだった。「京都伊勢丹店が独断で決めたことではない。上からの指示に従った」「貼り紙は外す」
 貼り紙は一時的に外されたが、しばらくして復活した。これが一因で、女性は2013年10月、約3年半働いた職場を去った。
 

 ▽「不買レベルの差別」

 この告発ブログはツイッターで拡散され、一気に広まった。今年7月25日時点で千件以上リツイートされ「明確な差別だ」「生活圏だったら不買するレベル」など批判の書き込みが目立つ。「釈明なり謝罪なり、今の会社の考えを説明してほしい」「現在の会社方針はどうか気になる」と、現在のアンデルセンがどうしているのかを問う書き込みもあった。

 ▽周囲の従業員は抗議しなかった

 ブログを書いた女性は現在、東京で会社員として働く。電話で取材すると、一度は外された貼り紙が復活した当時の心境をこう語った。「またか、と思った。それで諦めた」

 「韓国人も駄目でしょ」と言われた時、周囲の誰も差別だと抗議しなかったことも心に引っかかった。当時の職場環境を「最悪だった」と振り返る。従業員全体に「中国人や韓国人に対する差別意識があったと思う」と言葉を絞り出した。

 なぜ今、告発に踏み切ったのか。「今でも眠れない時があるくらいストレスを感じているからですよ」。電話越しの声には怒りがこもっていた。会社ぐるみで雇用差別をしていたのではないか、と女性は考えている。「アンデルセンには当時の雇用条件を開示してほしい」

※以下ソース※

https://nordot.app/924923559731068928?c=39546741839462401