「竜脚類は植物食」歯化石の傷を立体分析、恐竜で初解明 早稲田大など


 竜脚類の恐竜が植物を食べていたことを、歯の化石の傷を立体的に分析して裏付けた。早稲田大学などの研究グループが発表した。これまでは歯や顎の形から推測されてきたが、岩手県久慈市で見つかった化石から、初めて客観的な証拠を得たという。食べ物で歯が摩耗した痕跡を3次元で調べる手法を、恐竜に初適用。恐竜の食べ物の物性を客観的に示したのは、世界初という。

竜脚類は首と尾が非常に長く四本足で歩く恐竜で、植物食と推定されてきた。ただ現在、似た形の動物がいないなどの事情で、決め手を欠いていた。

 そこで研究グループは、食べ物により歯が擦れ、歯に微小な摩耗痕ができることに着目した。久慈市の中生代白亜紀の約9000万年前の地層から見つかった、竜脚類の歯の化石8本の先端の摩耗痕を、顕微鏡を使って立体的に測定。得られたデータを卵、肉、昆虫、植物、藻類、果実などさまざまな物を食べる現生のトカゲのものと比べ、食べ物の硬さを調べた。

 その結果、歯の傷が、貝殻を食べるトカゲより小さく、卵や肉を食べるトカゲより大きいことが分かった。植物や藻類、果実を食べるトカゲとは似ていた。このことから、食べ物は貝殻より軟らかく、卵の殻や肉よりも硬く、つまり植物だったとみられると結論付けた。

 傷の密度が現生のトカゲより高いことから、よくかんで食べていたとみられる。また今回の化石が産出した地層の時代には、シダ植物や裸子植物が多かったことが、花粉の化石から分かっている。この地域の竜脚類はこれらを食べていたはずだ。ここでは早稲田大学国際学術院の平山廉教授(古脊椎動物学)らが長年、発掘を続けており、花粉の化石から、食べ物の具体的な推定に道を開いた。
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