鶴見俊輔氏は、戦後日本に輝く傑出した知性だ。本書は氏の輪郭を浮き彫りにする。たとえば中学での回想。級友が《日本人ならばみんな大和魂を持っている》と言い、《ぼくには、みつからない》と鶴見少年が答えると、《君には、ないかもしれない》と返された。同調圧力に抗して個を貫く強靱(きょうじん)さがそなわっていたとわかる。

 育ちのよい家庭ゆえ両親に反抗し、逃れるように渡米。ハーバード大哲学科の学生として真珠湾を迎えた。敵国人なので収監され、獄中で卒論を書いた。日本

今週の本棚:橋爪大三郎・評 『日本思想の道しるべ』=鶴見俊輔・著 | 毎日新聞
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