コンビニ経営者は「時給530円」 のしかかる最低賃金引き上げ
https://mainichi.jp/articles/20220801/k00/00m/040/143000c
 経営者にとっては、物価高に加え、人件費の増加につながる「ダブルパンチ」となりかねない。とりわけ、影響を受けるのが中小・零細企業の経営者だ。

 「10月以降は売り上げを月100万円以上増やさないと、現在の利益を保てない」。東京都内で夫とコンビニエンスストアを営む50代の女性は嘆く。物価高の影響で売り上げを増やす必要があるが、景気も伸び悩む中、目標達成は至難の業だ。

 大手チェーンとフランチャイズ契約を結び、経営を始めたのは16年8月。当時、907円だった東京都の最低賃金は、21年度に1041円にまで上昇した。人件費負担に加え、今年に入って経営を圧迫しているのが食料品価格の上昇だ。

 プライベートブランド商品のから揚げやスナック菓子、カップラーメンなどの仕入れ値がじわじわと上がる中、本部が推奨する売値を簡単に引き上げられず、価格転嫁できない分はのみ込まざるを得ない。燃料費の高騰からくる電気料金の値上げも、常に明るく、エアコンの利いた環境を維持するコンビニにとって痛手だ。

 これら経費の上昇分を負担するのは、本部ではなく、個人事業主であるオーナーだ。経営改善について本部のスタッフに相談すると、自らシフトに入って人件費を削るように勧められた。連日、早朝に商品を並べ、休憩を挟んで午後から店に立つ。

 手取りは夫婦合わせて月20万円に届かない程度だ。女性は「時給換算すると、最賃どころでなく530円の時期があった」とぼ…