富野由悠季が問いかける「未来の問題」 非ガンダムファンこそ『G-レコ』を観るべき理由


「ガンダムの生みの親」こと富野由悠季監督の最新作として、構想段階から数えると約10年制作が続けられたアニメ『Gのレコンギスタ』。同作はTV放送版を全面リメイクした劇場版五部作の完成をもって、遂に完結した。
そのため今回は劇場版完成記念インタビューではあるのだが、実は「ガンダムの話」はほとんどなされていない。聞きたいことはただ1つ。「富野監督は何を考え、何のために『G-レコ』を創ったのか」である。

それはなぜか。近年、マーベル作品などの主に海外エンタメを題材に「この作品は現実のこうした社会問題の提起としても描かれている」と語る切り口はどんどん増えているにも関わらず、何十年もそれをやってきた富野監督の仕事の意義が、(同様に語られてきたジブリ作品と比べても)まだまだ知られていなさすぎると感じるからだ。

「地球環境が悪化しすぎたから人類は宇宙に進出しなければいけなくなった」という筋書きは1979年にスタートした『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)から続く設定であるし、そういった世界観の中において『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のシャア・アズナブルや『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のハサウェイ・ノアといった主要キャラクターたちは、ある種の環境テロリストとして描かれている。

また他にも人類と異星人同士(異民族同士)の凄惨な争いを描いた『伝説巨神イデオン』、ユーゴスラビア紛争をモチーフに取り入れた『機動戦士Vガンダム』、地下鉄サリン事件を受けてカルト集団と家族の問題を扱った『ブレンパワード』などなど、富野作品の多くは各時代の社会情勢や問題がビビットに反映されてきた。

そして、これまでの「ストーリーや設定に社会問題を取り込んだ富野作品群」と『G-レコ』が異なるのは、本作が最初から「社会問題を考えてもらうためのエンタメ」として企画された点である。具体的には地球環境の問題、際限なく膨張を続ける資本主義の問題、技術革新が戦争の悲惨さを増幅するばかりになっている問題などが多面的に織り込まれており、監督は2019年・劇場版第一部の公開時に「未来的な問題がどこにあるのかに考えを巡らして、その解決策を考えてくださる子供たちを待ちたいのです」というコメントも寄せている。
その「未来的な問題」とは一体何なのか。話をうかがった。

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