カブトムシが巨大なツノをもつために欠かせない…土の中の「ある成分」とは?
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身近な昆虫のなかには、ミミズよりも発達した消化の仕組みを持つものがいる。子どもたちのヒーロー、カブトムシだ。成虫は夏の夜、蜜を求めてクリやクヌギの木(樹液の出るウロ)に多く出現する。
しかし、カブトムシが幼虫として、その生涯の多くを土の中で過ごすことはあまり知られていない。

カブトムシの幼虫のごちそうこそ、腐葉土(腐りかけの有機物)である。熱帯雨林がシロアリの楽園なら、分厚い腐葉土を持つ温帯林や熱帯山地林は、カブトムシの楽園である。
涼しい気候では微生物やシロアリの分解活動が制限され、腐葉土が堆積しやすい。南米のヘラクレスオオカブトなど大型種も、高山の雲霧林に分布している。

カブトムシは分厚い腐葉土を棲みかにしている。

腐葉土を敷き詰めた虫かごで幼虫から成虫まで育てた勇者は知っているかもしれないが、いくら腐葉土を入れても幼虫はバリバリ食べて消化していく。
といっても、カブトムシの幼虫も、セルロースの分解を微生物に頼っている。酸性でまずそうな落ち葉の〝食べ残し〟である腐葉土から、どうやってエネルギーを得ているのだろうか?

カブトムシの腸をのぞいて見てみよう。驚いたことに、幼虫の腸の中ほどには、強アルカリ性でpH12にもなる部分がある。強アルカリ性泉で「美肌の湯」として知られる白馬八方温泉(長野県)のpH11・5を上回る。
カブトムシは、カリウムを含む植物遺体を食べ、カリウムイオン( K+)を腸内へ放出するポンプを作動させ、アルカリ性の腸をつくり出す。