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「たった1日でも高い抗うつ効果が期待できる」夏休みが取れたら真っ先にやるべき3つのこと

たった1日の夏休みでも仕事で溜めたストレスを発散し、リフレッシュすることは可能なのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「時間を区切り、空間を区切り、さらに五感を区切ることにより、気分転換や抗うつ効果が期待できる」とい

■たった1日の夏休みに真っ先にやるべき「抑うつ対策」とは

 皆様はどのような夏休みをお過ごしですか。

 私のクライアントでは、多くの社員さんたちは、3年ぶりの夏休み旅行や帰省を計画していたようです。しかし、新型コロナウイルス感染症の第7波を受けて計画を続行する人、取りやめる人さまざまです。

 私は最近の産業医面談で、人々の働き方だけでなく、休みの時間(=仕事以外のプライベート時間)においても、以前にも増した多様性の気配を感じています。

 このような中、たった1日でも夏休みを取れたら、気分転換になり抗うつ効果が高い1日となるように、真っ先にやるべきことについて、今回は3つ書かせていただきます。少しでもお役に立てば光栄です。

 それは、時間を区切り、空間を区切り、さらに五感を区切ることにより、緊張という日々の感情を上手に断ち切ることです。

■人は無意識でも日々緊張している

 働く人の多くは、職場の人間関係や仕事の質や量など特定のストレス原因がなくても、無意識ながらも日々緊張を感じながら過ごしています。この緊張感を上手に緩めることができないと自律神経のバランスを壊したり、メンタルヘルス不調になってしまうのです。

 このような緊張感に上手に対処するためには、自分の緊張した気持ちを弛緩(しかん)(リラックス)させる必要があります。そのために有効なのが、上記の3つの区切り方です。以下、区切る方法を順番に見ていきましょう。

■方法1:時間を区切る

 時間を区切るという習慣は、実は誰もが日常的にやっていることでもあります。意識するしないにかかわらず、日中働いている人であれば、昼食時にはランチタイムと称して時間を区切っていますし、コーヒーやお茶を飲むなど、休憩を挟むケースもあるでしょう。このように時間を区切ることで、仕事の緊張感を一時的に解きほぐすことをすでに多くの人は無意識にできているのです。

 時間を区切ることは、緊張の原因に直接対処するのではなく、休憩時間や休暇を積極的に取り入れることを意味しています。緊張の持続期間を区切る効果があります。

 せっかくの休みの日を、翌日以降の仕事に備えて資料をまとめたり、復習したりして過ごすことが悪いとは言いません。確かに、翌日からしばらくの間、仕事に余裕が生まれることもあります。しかし、そのような過ごし方では、日々の緊張感は身体から抜けません。

 1日しか休みが取れないのだからこそ、仕事のメールは見ない、仕事のために使わない1日として過ごしたほうが、日々の緊張感は断ち切れます。しっかりと休みの1日としましょう。

■疲れて「から」でなく、疲れる「前」に休憩を

 たった1日の休みでも、その効果を最大数週間発揮させることが可能です。

 それは、疲れてから時間を区切る(休む)のではなく、疲れる前にあらかじめ休憩や休暇を入れることです。マラソン選手は42.195kmを全力で駆けぬけるために、喉が乾いてから水を飲むのではありません。あらかじめ、給水ポイントを決めているのです。忙しいビジネスマンも、疲れてから休むのではなく、1年ごと、四半期ごとに、自分の疲労がたまりそうな時期に、ぜひ、お休みの計画を入れてみてください。緊張感のある日常生活を送りながらも、区切り可能な日が明確になり、そこまで頑張るモチベーション(動機づけ)にもつながります。

 アメリカの研究で、事前に長期休暇の予定を入れて計画しておくことで、2カ月前から人の幸福度は上がるというものがあります。皆さんも、休日のことを思うと、その休日が近づくにつれ少しずつ気分がウキウキする経験をお持ちではないでしょうか。たった1日の休みでも、あらかじめ楽しい予定を計画することで、その効果を最大限お使いください。