『ドラゴンボール』で悟空が修業した界王星。とても小さいが、重力は地球の10倍。どんな修業ができる?

◆よい修業ができそうだ
この小さな星が、地球の10倍もの重力を持つというのだから驚きだ。
星の表面の重力は半径と密度に比例する。
界王星の半径9.33mとは、地球の半径6378の68万分の1。それで重力が10倍なら、密度が680万倍もあるわけだ。質量は1300億t。
地球の平均密度は、1cm³あたり5.52gだから、界王星の密度は1cm³あたり3800万g=38tもあることになる。
太陽のような恒星が燃えつきたあとにできる白色矮星レベルの密度だ。とても人が住める環境ではない。
しかし、これは悟空にとって、いい修業場になっただろう。
この星を作る岩石は、密度が地球の岩石の680万倍も大きいはずだからだ。
たとえば、その辺の石ころを拾ったとする。地球のものなら100gくらいの石ころが、界王さまでは68万=680tの重さ!
そのうえ重力が10倍だから、6800tに感じられる!
地球で同じトレーニングをしようと思ったら、直径36mの岩を投げたり持ち上げたりする必要があるから、修業の場として界王星を選んだのは、大正解。
界王星で石を拾って投げられるようになれば、もはや無敵なのだ。
ただし、投げる速度には気をつけてもらいたい。
悟空は身長1m75cmなので、高さ1.5mで投げると考えよう。この高さから石を水平に投げた場合、時速97km以下なら、星のどこかに落下する。時速143km以上なら、重力を振り切って宇宙の果てへ飛んでいく。
しかし、そのあいだの速度で投げてしまうと、星をぐるっと一周して、自分の後ろから返ってくる!
それが時速120kmだったら、帰ってくるのは2.04秒後。
危ない! こんなモノが後頭部を直撃したら、爆薬96分の破壊力。かめはめ波を食らうよりダメージが大きいんじゃないか。
また、あまりに星が小さいために、異常な事態にも直面する。たとえば、前述の「石を持ち上げるとき」だ。
重力は、星の中心からの距離の2乗に反比例する。持ち上げると中心からの距離が遠くなるから、重力は弱くなる。すなわち石は軽くなる。
6800tの石が、1m持ち上げると5600tに! 2m持ち上げると4600tに!
通常、荷物というものは高く持ち上げるほど大変だが、この星ではまったく逆なのだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagitarikao/20220805-00308808

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