米を中心に感染が広がり、WHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したサル痘。
世界で最も感染者が多いアメリカで、実際にサル痘に感染した男性が当時の状況を話してくれました。本人が「人生でいちばんひどい痛みだった」と語った症状の経過を聞きました。

取材に応じたのはニューヨーク市に住む大学院生、カイル・プランクさん(26)です。

プランクさんは7月上旬、サル痘への感染が確認されました。

最初に異変に気付いたのは6月末で、発熱や頭痛などインフルエンザのような症状がでて、はじめは新型コロナウイルスへの感染を疑ったということです。

コロナの検査を受けましたが、結果は陰性でした。

3~4日がたつと熱は下がりましたが、今度は手や腕に赤い発疹が現れ始めました。

「もしかすると」と思って検査を受けると、サル痘への感染が確認されました。

「人生でいちばん痛い」その症状とは

プランクさんの腕にできた発疹は、徐々に変化してニキビのような5ミリほどの水ぶくれになりました。

この水ぶくれが2~3日で脚や背中、胸など体全体と口の中などの粘膜にも広がり、全部で30か所ほどできたということです。

(プランクさん)
「最初はヒリヒリするような、かゆいような感じでした。でも時間がたつにつれ、常に痛くなり、おさまらなくなったんです。鎮痛剤を使っても無理でした。この時の水ぶくれは、私が人生で経験した中でいちばんひどい痛みでした。あまりに痛くて眠れず、横になっても起きていても具合が悪いんです。唯一、痛みに効果があったのは、1日に何回も温かいお風呂に入ることでした」

プランクさんが「人生でいちばんひどい」と表現した痛みは、1週間ほど続いたということです。

(中略)

感染の原因について思い当たることを尋ねると、6月下旬、ニューヨーク市内で開かれていたイベントへの参加をあげ、確信は持てないものの、時系列で考えると、このときに多くの人と接触したことや性的接触があったことが原因の可能性があると話していました。

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は7月23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した際、現状は「感染が男性と性的関係がある男性、特に複数のパートナーと性的関係を持つ男性の間で集中的に発生している」とした一方、
「密接な接触によって誰もが感染する可能性があり、特定のグループの人たちの病気ととらえずに警戒するべきだ」と話し、「偏見や差別は、ウイルスと同じように危険だ」と警鐘を鳴らしています。

これについてプランクさんは「自分は性的マイノリティーの一人です」と明かしたうえで、次のように話していました。

(プランクさん)
「世の中の人々がパニックにならないためにも、どういう行動が感染リスクが高いのか、正しい情報を得ることが重要だと思います。そして、ワクチンや症状、それに治療法について、最新の情報を信頼できるところから得ることも重要だと思います」

プランクさんはサル痘についての正しい知識を身につけることが、何よりも大切だと、何度も強調していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220809/k10013761451000.html