博物学者、南方熊楠(1867~1941年)がキノコについて書いた直筆書簡が新たに見つかった。和歌山県白浜町の南方熊楠記念館が10日、発表した。

 書簡は縦約18センチ、横約53センチで、1930年1月29日に上秋津村(現田辺市上秋津)の農業、田中房吉氏に宛てたもの。田中氏は同月13日、キンカンの幹に発生したキノコを、知人を介して熊楠に贈っていた。

 書簡ではイラストを交え、このキノコについての熊楠の考えが書かれている。キノコはキシラリア属のものだが、従来見たことのない形をしており、新種の可能性があるとして、自身で資料を作り、同属に詳しい菌類学者へ送るなどと伝えている。ただ、館によると、この後の熊楠の行動は不明という。

 書簡は田中氏の子孫が見つけ、館に寄贈した。館は「書簡では贈られたキノコだけではなく、キシラリア属全体についても説明しており、熊楠のきちょうめんな性格がうかがえる」としている。

 書簡は18日から来年3月まで、館で展示される。【竹内之浩】

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