地味にすごい経営術・イトーヨーカドーのフードコート「ポッポ」
ポッポって実はすごいんじゃないか
イトーヨーカドーのフードコートを思い出してほしい。
うどんやドーナツ、アイスクリームなどの専門店があるなかで、らーめん、たこ焼、お好み焼とライトミールを網羅する
オールラウンダーのファストフード店があるでしょう。
そう。「ポッポ」。
部活帰りの高校生グループがお好み焼や山盛ポテトを食べてる光景を思い浮かべて懐かしさを感じる人も多いのではないか。
昼は近隣のビジネスパーソンで、休日はファミリーでにぎわう。テレビCMもないのに安定して繁盛している不思議なファストフードチェーンだ。
ところでポッポを経営している会社をご存じだろうか。
セブン&アイ・フードシステムズ。
そう。あの巨人が「なんでもない」お店を、あえてやっているということなのである。
「素朴な味」とはちょっと違う、あの研ぎ澄まされた「ど真ん中」なおいしさは、つまり意図したものなのだろうか。
そこには絶対なにか大きな狙いがあるはず。グルメ視点では見えてこないポッポのクレバーな経営をうかがってきた。
完全にこちらの興味本位。PRではない。
こちらの無理なお願いを聞き入れて、大事なお話をしていただいたのは、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ営業本部ポッポ営業部長の日比浩介さん。
「味のストライクゾーン」が広い
ポッポが扱うのはらーめん、ソフトクリーム、たこ焼、お好み焼、フライドポテト、今川焼(薄皮黄金焼)など、
屋台や遊園地的なライトミール全般である。
すべてのメニューがシンプルで、それゆえに飽きない。
「ど真ん中」に慎重にコントロールされた味。
「懐かしの」と形容されそうでありながら、実態はノスタルジーではない。どこにも存在しない、イメージ上の「故郷」みたいなものである。
考えてみると、こういうものを作るのが一番難しいのではないか。
日比:なにしろイトーヨーカドーの中なので、小さなお子様から年配の方までご利用していただける。
そういう客層がメインの立地ですので、当然そこをターゲットとしたモノづくり、味作りをしていかなきゃいけないのです。
必然的に、どなたにも「おいしいね」って言っていただけるような全方位系のメニューになってきます。
──無個性でありながらおいしいらーめんに驚きました。いまどき特徴なしでど真ん中ストレートな味で、なおかつ普通においしい。
らーめんに関しては、味噌、塩、醤油は外せないよねと。それぞれの味付けに関しても、
一時期は魚粉を入れて少し家系に振ったりしたんだけど、結局ね、もとに戻るんですよね。お客様からのご意見をいただいたりして。
▲あっさり醤油らーめん(496円)
──流行に乗るということじゃないですけど、でも魚粉を入れてみたりするような振れ幅はあったんですね。
日比:やっぱり我々は、万人受けする味を追求しなきゃいけないんだなと知らされて。またいますごくベーシックなところに戻っているんですけど。
──客層に合わせて必然的にそうなったという。
日比:ただ単に醤油らーめんということではなくて、そこに対する味のこだわりというのはすごく深く入ってます。
いまはポッポの店舗数は多いわけではないので、本当はPB(プライベートブランド)で我々専用に作ってもらうのは
難しいと思うんですけれども。そこはグループの力だったり、セブン&アイ・フードシステムズの力だったりで、
ポッポ専用に作ってもらってるわけです。味に関しては我々が求めるものをとことん追求して作り出しているので、
どこにも負けない自信はありますよね。
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/noriki-washiya/18-00388