
綾波系ヒロインがオタク界隈から消失…時代に取り残されてしまった「クーデレ」キャラ
かつて「クーデレ」という属性があったことをご存知だろうか。
最初はクールな印象なのに、時間経過とともにデレていくキャラクターのことで、一世を風靡した時代もあった。
しかし現代ではすっかり死語となり、クーデレキャラは軒並み絶滅へと追いやられている。
「クーデレ」が席巻した2000年代
歴史を振り返ると、おそらく「クーデレ」の元祖は『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイだろう。
無口・無表情の美少女という画期的なキャラクター造形は、たちまち人気を獲得し、
『機動戦艦ナデシコ』のホシノ・ルリや『ギャラクシーエンジェル』のヴァニラ・Hなどのフォロワーを生み出した。
しかしそうした“綾波系ヒロイン”の続出にもかかわらず、当時は「クーデレ」という概念は定着しなかった。
むしろオタク界隈で普及するようになったのは、2000年代中盤あたりのことだ。
きっかけとなったのは、やはり『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希。
そこで「ツンデレ」のサブジャンルにあたる萌え属性として、「クーデレ」が注目を浴びた。
「涼宮ハルヒの憂鬱」は原作の時点で人気が高かったが、2006年に『京都アニメーション』がアニメ化したことで、本格的にブームが爆発。
それに合わせて同アニメ屈指の人気キャラである長門有希を指す属性として、「クーデレ」が広まっていった印象だ。
「クーデレ」が当時どれだけ人気だったかというと、まず長門有希は基本的にメインヒロインであるはずの涼宮ハルヒよりも人気が上。
『このライトノベルがすごい!』を参照すると、2005年から2007年までは、長門有希の方が高い順位にランクインしていた。
「クーデレ」が衰退した理由とは?
その後もライトノベル界隈や美少女ゲーム界隈などで、しばらく「クーデレ」ブームが過熱。
当時はハーレムモノ最盛期だったことも手伝って、どの作品も1人は「クーデレ」キャラクターが配置されている状況だった。
2009年にはライトノベル『アクセル・ワールド』が発行され、電撃小説大賞の“大賞”を受賞したが、同作のヒロイン・黒雪姫もやはり「クーデレ」に近いキャラクターだ。
ところがそんな輝かしい歴史がありながら、現代では「クーデレ」という言葉はほとんど聞く機会がない。
それどころか無口系ヒロイン自体がめっきり減ってしまっている。
無口系ヒロイン消滅の理由としてよく挙げられているのは、
《量産されまくったから》《ワンパターンで飽きられた》といったもの。
喋らないのでバリエーションが出しづらいという事情もあるが、寒色系の髪に切れ長な目といった、見た目まで同じようなキャラクターが乱造されたことで、飽きられてしまったのかもしれない。
もちろん『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の天王寺璃奈や、『リコリス・リコイル』の井ノ上たきななど、
「クーデレ」に該当する人気キャラクターもいることはいる。
いつかまた覇権ジャンルの座を取り戻す日は来るのだろうか…。
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