先週末の動員ランキングは、人気コミック『ONE PIECE』の長編劇場版第15作『ONE PIECE FILM RED』が土日2日間で動員157万9552人、興収22億5423万7030円という記録的なオープニング成績を叩き出して初登場1位に。
オープニング2日間の興収は、シリーズ最高興収68.7億円を記録した2012年12月公開の『ONE PIECE FILM Z』の164%という圧倒的な数字に。
配給元の東映にとって、動員、興収ともに歴代ナンバーワンのオープニング記録となった。今回の成績を牽引したのは、公開初日から入場者プレゼントとして配布された「『ONE PIECE』コミックス-巻四十億“RED”-」。
300万部用意された同冊子は、既に多くの劇場で配布終了となっているが、8月13日(土)からは第2弾入場者プレゼントとして「ONE PIECE カードゲーム チュートリアルデッキ」が50万パック限定で配布される。見渡すところ『ONE PIECE』旋風に死角なし、といったところか。
いや、一つだけ死角があるとしたら、配給が東映であるということか。というのも、東映にとって歴代ナンバーワンの興収は1990年公開『天と地と』の92.0億円。
ウィークデイに入ってからも『ONE PIECE FILM RED』は興収100億円突破も十分にあり得る勢いで動員を伸ばしているが、東映配給作品は100億円突破の前例がないどころか、『天と地と』以降の30年余りは70億円超えさえも未体験ゾーンとなる。
東宝配給の大ヒット作のように、客足が減ってからも延々と膨大な数のスクリーン数を割き続けるような、万全なロングラン体勢を敷けるかどうかにかかっているだろう。
ちなみに、21世紀に入ってからコロナのパンデミック時期に入る前までの東映全体の年間興収は、95億7816万円(2004年度)から179億8025万円(2009年度)の範囲に収まっている。もし『ONE PIECE FILM RED』が興収100億円を超えるようだったら、いや、超えなかったとしてもこのままでいくと、一つの作品が東映全体の半分以上の年間興収を稼ぎ出す見込みだ。
これまで3〜4年おきに公開されてきた『ONE PIECE』劇場版は、どうしてここにきてこれほどの爆発的ヒットとなったのか? 一つは、これまで春休みシーズン、あるいは正月シーズンと定まってこなかった同フランチャイズの公開時期が、2016年公開の前々作『ONE PIECE FILM GOLD』から夏休みシーズンの公開作品として定着したからだろう。
さらに、前作からの3年の間に日本の映画業界ですっかり定着した入場者プレゼント商法に、『ONE PIECE』の作品特性や観客層がどハマりしたことも大きい。そして最後にもう一つ。本コラムでも再三述べてきたように、今年の夏休みシーズンはディズニーと東宝に有力作がほとんどないという、「敵失」の側面もあることを付け加えておく。
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