フランスで今起きている「働かない若者」問題 カフェも美容院もパン屋も人手不足で大変


 パリのあるブーランジェ(パン職人)は、5カ月前からパティシエを探していると言いますが、いまだに見つけられていません。同時に販売スタッフも探していますがこちらも決まらない。パン職人は「これはフランスの気前の良すぎる失業保険のせいだ。仕事を辞めても、2年間は失業手当をもらえるんだから」と嘆いています。

 実際、フランスは失業保険制度に最も寛大な国の1つです。そして、多くの人が、新型コロナウイルスの影響下でこの"特権"に気がつきました。コロナ禍で一部の人たちは、自分の人生の「優先順位」を考えるようになりました。その結果、人生のクオリティを下げるような仕事などを辞める人が増えているというわけです。

 フランス人の人々はますます、「自分の時間」が人生で最も貴重だと考えるようになっています。それに最初気がつくきっかけとなったのが、コロナ禍のロックダウンやその後のリモートワークでした。

 この期間、人々は自分の心を整える方法を見出し、愛する人たち、特に子供たちと一緒にいる時間が増える一方、会社との関係が希薄になりました。結果、会社や上司のために犠牲を払おう、という気持ちが薄れていったのです。
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