鳥取砂丘で熱中症続出、1日に4回ヘリ出動も…開放的な気分でも「走らないで」

 猛暑が続き、鳥取の観光地「鳥取砂丘」(鳥取市)でほぼ連日、観光客などから熱中症の症状を訴える人が出ている。県によると、今月に入り15日間で30人が症状を訴え、前年同期の10倍に上る。重症の人もおり、県などは「予防のために、砂丘で走るなどの急激な運動は控えて。人との距離が取れる場合はマスクを外して」と呼びかけている。

 鳥取砂丘は東西16キロ、南北2・4キロに広がり、標高46メートルの「馬の背」の先に日本海を望むことができる。鳥取砂丘で熱中症を訴えた人は昨年度は19人だったが、今年はすでに大きく上回った。今月10日には搬送のためヘリコプターが4回出動した。

 8月の熱中症疑いの7割近くが馬の背周辺で起きている。砂丘の入り口から馬の背までは、一度下った後、砂に足を取られながら急斜面を登るため、往復40分ほどかかる。途中に休憩できる日陰などはほぼなく、直射日光が降り注ぐ。夏は砂の熱さが50~60度に上昇することもあり、日光の照り返しで体感温度も上がる。

 熱中症を訴える人は県外からの人が多く、10代や20代も多い。開放的な気分からか馬の背を駆け上がり、そこで動けなくなることもあるという。2020年8月には、県外在住の40歳代の男性が熱中症疑いで死亡した。男性は1人で観光に来ており、巡視している砂丘レンジャーらが異変に気づきにくいくぼみで倒れていた。県は昨年8月から、熱中症警報発令時に1日2回、ドローン(小型無人機)を飛ばして起伏に富んでいるエリアなどを巡視しているが、馬の背などでの救助事案が多いと、手が回らないこともあるという。

 県の担当者は「日傘や帽子で日差しを避けるとともにこまめな水分補給をして、体調が優れないときは無理をしないで」と呼びかける。車で家族旅行に訪れ、長距離運転の疲労からか砂丘で熱中症を訴えた例もあったという。

 帰省の途中で寄り、家族4人で馬の背まで登った埼玉県の40歳代の女性は「想像以上に急でしんどかった。行きはみんなマスクをしていたけど、途中で外す人が多かった」と話していた。

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