ネクロフィラスな傾向が強い人は、話題が常にマイナスのことである。人についても自分についても、不幸になるというようなマイナスな情報に興味を示す。

 あの人の結婚はうまくいかない、あの人が始めた事業は失敗する、あの家庭は今はうまくいっているが、そのうち子どもが問題を起こす、あの人は今はエリート・コースだが、そのうち燃え尽きる、などなどが話題としては興味ある。

(中略)

 死を愛する傾向などというと、自分とはまったくなんの関係もない「心の病んだ人」の話と思うかもしれない。しかし、決してそうではない。

 愛されることなく、たった1人で生きてきた人は、誰でもネクロフィラスな傾向をもっていると私は思っている。

 愛されることなく、たった1人で生きてきた人というのは、山の中で1人で生きてきたということではない。偽りの子煩悩の親に育てられた人は、心の世界ではたった1人で生きている人である。大家族の中で生きていても、心の中ではたった1人で生きている人は多い。みんなから、いいように都合よく利用されて生きた人はそうである。

 たとえば、うつ病を生み出しやすい家庭の特徴である。主権的人物を中心に、服従依存の関係が成立している。こうした家で服従依存の中で成長した人は、心の中ではたった1人で生きている。だから、人々が想像するよりもはるかに多くの人が、ネクロフィラスな傾向を強くもっている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e1128f78aff43dbd00ffef4e53832b4e0749aef1?page=1