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母は五輪5大会出場 フィギュア山田恵が逆転V 副賞の肉にニッコリ

フィギュアスケートのげんさんサマーカップ第3日は13日、大津市の滋賀県立アイスアリーナでジュニア女子フリーがあり、ショートプログラム(SP)3位の山田恵(木下アカデミー)が100・58点のフリー1位となり、合計148・65点で逆転優勝を果たした。

 今季、ノービスからジュニアに参戦した中学1年生の山田がミュージカル映画「ファニー・ガール」の曲に乗り、躍動感に満ちた滑りを見せた。「(優勝は)諦めていたので、プレッシャーというよりも、自分のできる演技ができればよいと思っていた」と最後まで名作喜劇の世界観を表現することに徹した。

 冒頭のルッツからトーループの連続3回転ジャンプを決めると、軽やかに舞った。後半の3連続ジャンプでは、三つ目のサルコウで転倒したが、崩れることなく演技をまとめた。フリーは出場選手の中で唯一の100点台に乗せ「サルコウを転んだけど、それでも100点が出た。スケーティングをきれいにすれば、もっとできるかなと思う」と喜んだ。

 福岡県出身。母伸子さん(51)はショートトラックの冬季オリンピック選手だ。1988年カルガリー大会を皮切りに、94年リレハンメル大会を除いて2006年トリノ大会まで、通算5回も五輪出場を果たした名選手だった。

 母譲りの体幹の強さを持つ山田は5歳から競技を始め、九州の大会では着実に成績を残してきた。そして今年2月、全国から将来有望な選手が集まる木下アカデミー(京都府宇治市)の門をたたき、浜田美栄コーチに師事。しんきゅう師の資格を持つ母とともに京都へ移り住み、高みを目指している。

 同じ「スケート」の道を選んだ山田は「スケーティング技術はまだまだ納得していない」と初優勝にも自己評価は厳しい。表彰式で副賞として大会名物の牛肉1キロを贈られると「率直にうれしい。1キロあるから食べるのも困るので、京都にいる身内で食べたいと思う」と初々しくはにかんだ。

 同じ木下アカデミーに所属する4回転ジャンパーの島田麻央ら、ジュニア・グランプリシリーズへの出場を予定する選手たちが新型コロナウイルスの感染状況を考慮して欠場した中、13歳のホープは将来に期待を抱かせる演技で存在感を示した。