<独自>防衛省「認知領域」を追加 来年度から 分析・発信態勢強化へ
2022/8/16 21:24

防衛省が来年度から、これまで新領域と位置付けていた宇宙、サイバー、電磁波に新たに「認知領域」を加え、これらの戦力を組み合わせた「領域横断作戦能力」の構築を目指す方針を固めたことが16日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。海外の偽情報を分析し、自国に有利になるよう正しい情報を積極的に発信するため、関連経費を来年度当初予算の概算要求に盛り込み、情報収集・発信態勢を強化する。

防衛省は平成30年策定の「防衛計画の大綱」で従来の陸海空の領域に対し、宇宙、サイバー、電磁波の3つを新領域と位置付け、それぞれ専門部隊を創設。政府が年末にかけて進める国家安全保障戦略や防衛大綱など戦略3文書の改定を念頭に、来年度当初予算の概算要求では4番目の新領域として「認知領域」を加える。

防衛省は今年度、海外の情報収集に当たる「グローバル戦略情報官」を新設。各国の公式発表や報道、交流サイト(SNS)上の偽情報などに軍事上の関係があるものがないか調査分析している。情報発信については「戦略的コミュニケーション」の観点から部局横断チームを設置し、昨年夏ごろから情報発信を強化。米国などとの共同訓練についてSNS上で中国語などでも発信し、同盟国側の結束をアピールしている。

来年度当初予算では、こうした調査分析と情報発信を担う人員拡充や組織の一元化などの態勢強化を図る。そして自衛隊が従来の陸海空に加え、認知領域と宇宙、サイバー、電磁波の各領域の戦力を組み合わせた「領域横断作戦」を遂行できる態勢を目指す。

認知領域をめぐっては、ウクライナに侵攻したロシアが偽情報をまいてウクライナ国民を混乱させたこともあり、日本政府内で関心が高まっていた。

https://www.sankei.com/article/20220816-JDLXAXRCGNP7PK4LRJEJYEKKJY/