中国では厳格な「ゼロコロナ」戦略のもと、商業施設などが突然封鎖され、客らが中に閉じ込められることがある。
上海市のイケアで13日、そうした事態となり、一部の客がどうにかして店外に出ようとして混乱した。

上海市当局は、新型コロナウイルスの陽性患者や濃厚接触者が確認された場合、一帯で急きょロックダウンを実施している。
そのため、鍋料理店やスポーツジム、事務所など、通常であれば何時間も過ごさないような場所に、多くの人が長時間、閉じ込められる事態が発生している。
上海市内では先週も、新型ウイルス検査の結果が異常だとのうわさを聞いた人々がビルから逃げ出す騒ぎがあり、その動画が広がった。

上海・徐匯区にあるイケアでは13日、客の1人が新型ウイルス陽性者の濃厚接触者だと判明したとして、保健当局が店舗を封鎖しようとした。
当時の動画には、警備員が閉めたドアを群衆が無理やり開け、逃げ去る様子が映っている。
上海市衛生健康委員会の趙丹丹副主任は14日、チベット・ラサから上海に戻った6歳男児が陽性と判定され、その濃厚接触者がイケアを訪れていたため、店舗の封鎖を急きょ命じたと述べた。
濃厚接触者がいつ店内にいたとみられるかは言及しなかった。
イケア店内と関連敷地内にいた人は、2日間の隔離と、その後5日間の健康観察が義務付けられるという。

中国紙・上海日報によると、6歳男児は無症状。14日までに濃厚接触者400人近くが追跡され、8万人にPCR検査が命じられたという。
イケアのカスタマーサービスは同日、新型ウイルスを抑えるために店舗が閉鎖されたと述べた。
徐匯区の店舗は1998年開店の旗艦店で、イケアの中国1号店。スウェーデンの家具小売りの同社は現在、中国で35店舗を展開している。
中国のゼロコロナ政策をめぐっては、経済への影響が大きいとして、国民の反対意見が増えている。しかし、政府はこの政策を貫いている。
人口2000万人の上海は、今年3月末から2カ月にわたって市全体を封鎖した。食料不足や隔離施設の劣悪な環境が広く報道された。
https://www.bbc.com/japanese/62558346
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