辛い敗戦も、投手として経験しなければいけない試練だろう。

 中日・根尾昂が2022年8月17日の広島戦(マツダ)で、0-0の延長11回2死二塁のピンチに救援登板。代打・松山竜平に初球の149キロ直球をはじき返され、打球が中堅・岡林勇希の頭上を越えると、マウンド上で両膝に手をついてうなだれた。野手から今季途中に投手に転向し、プロの舞台で初めて許したサヨナラ打だった。

■「もう少し慎重に入っても良かった」

 11回は、この試合まで防御率1点台だった藤嶋健人が救援登板したが、代打・松山の場面で立浪和義監督は根尾へのスイッチを決断した。藤嶋をそのまま続投させる選択肢や、松山を敬遠させて次の堂林翔太と勝負という判断も考えられた。

 中日ファンからはネット上で「あの場面で根尾は酷すぎる」、「根尾を育てたいのは分かるけど藤嶋にもプライドがある」など立浪監督の采配に批判の声が見られた。

 スポーツ紙デスクは「根尾にスイッチした判断は間違ってはいないと思います」と指摘した上で続けた。

「藤嶋は制球がばらついて本来の状態ではなかった。それなら直球に力のある根尾にしようと。ただ、松山は初球から振りに来る打者で直球に強い。捕手の木下拓哉は内角に直球を要求して甘く入った球を痛打されましたが、もう少し慎重に入っても良かったかなと。歩かせてもいい場面だったのでゆとりを持って勝負しても良かった。ただ、これも経験です。根尾は1球の怖さを知ったと思います。今は全ての登板が成長の糧になる。これからの野球人生に生かしてほしいですね」

打線は20イニング連続無得点
 サヨナラ負けを喫したが、深刻なのは再三の好機を生かせずに延長11回で無得点に終わった打線だろう。

 代打で郡司裕也、福田永将が登場したが凡退。迫力不足は否めない。広島にはサヨナラ打を放った松山のほか、ベテランの長野久義も代打の切り札で控えていた。中日は前日の16日の同戦も森下暢仁に零封負けを喫し、20イニング連続無得点。打線が活気づかなければ、最下位脱出は程遠い。

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