竹中平蔵氏、刑罰による抑止力が効かない“無敵の人”対策は「ベーシック・インカムによって下部構造を豊かに」

■「私はベーシック・インカムしかないだろうと考えている」
竹中氏

 閣僚を務めた経験もある経済学者の竹中平蔵氏は「私が公職にあった時はSPさんが付いてくれていたが、これは一種の抑止力でもあるし、その意味では罰則も重要だ。民主主義というのはまさに距離が重要なので、大統領候補は常にリスクを抱えながら政治活動を行う。ネットはものすごく煽るし、私も常に煽られているが、そうではない人も必ずいるというのもまたネットだ。
シニカルな言い方をすると、私に対する批判が増えれば増えるほど、私の講演会を聴きにくる人は増える。そういう意味では、リスクを負って有名になる人はいるし、社会はそのための冗長性がなければならない。だからこそ、ある程度の罰則の強化も必要だと思う。

 しかしベースにあるのは、社会に不満を抱いている人がものすごく増えているという問題であって、これは解決していかなければならない。内閣府のアンケート調査を見ると、“あなたは心の豊かさと物の豊かさ、どちらを重視するか”という質問に対して、もちろん心の豊かさと応える人が多いわけだが、実はここ2年ぐらいで、物の豊かさという人が増えてきている。日本全体がどんどん貧しくなっている。
特に低所得層が被害を受けているわけだ。チャーチルが“成長は全ての矛盾を覆い隠す”という有名な言葉を残しているが、ネットも社会も民主主義も、矛盾がある、その部分だけを議論していても問題は解決しない。下部構造を豊かにする議論をしなければならない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ec5eaf2c26185baa8559a84003ab44df273e84d1?page=2