「毎日ネットニュースにコメント」孤独でも充実したアラサー男性の主張(bizSPA!フレッシュ)
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(前略
倉庫管理会社に勤める田村孝伸さん(仮名・30歳)も、ここ数年はほぼ毎日ネットニュースなどにコメントを投稿するヘビーユーザー。多いときは1日に数十件書き込むこともあるといいます。
「すっかり日課です(笑)。いいね!や同意のコメントだけでなく、反対意見でも嬉しいですね。しっかり読んでくれているわけですし、ケンカ腰の内容でもあまりイラッとすることはないかな。無反応よりは全然ありがたいですよ。今はここが自分にとって人と交流できる数少ない場所なんで」
小さいころから集団の中に上手く馴染むことができず、中学校に入ると不登校に。高校は通信制だったので無事に卒業できたものの、大学では再び孤立。キャンパスに行くことができなくなり、2年生のときに中退してしまいます。
その後、ライン作業の機械工場や警備員などいくつかのアルバイトを転々とし、3年前に今の会社に入社。最初は契約社員でしたが現在は正社員として働いています。
「このまま非正規雇用が続くもんだと覚悟していたから会社には感謝しかありません。倉庫の管理業務という退屈で面白味のない仕事ですが、人とほとんど接することがないので居心地は良いです。きっと営業やデスクワークなどの普通の職場だったら上司や同僚との人間関係が上手く築けず、すぐ辞めてしまったと思うから」
会社では現場からの持ち上がり採用の社員は、本社などの内勤部署に異動せずにそのまま倉庫勤務が続くケースが多く、彼にとっては理想の職場と言えそうです。
「こんな仕事ゆえか倉庫担当は無口な方が多いですね。基本的に見回り以外はそれほど仕事がないのですが、みんな他人に干渉しようとせず、事務所にいてもお互い雑談などは皆無(苦笑)。当然、仕事終わりに一緒に飲みに行くこともないし、気を遣わなく済むのでラクなんです」
かといってプライベートがその分、充実しているわけでもなく、仕事が終われば寄り道もほとんどせずに帰宅。実家住まいで食事は用意してくれるため、休日は一歩も外出せずに終わることも珍しくないそうです。
「こういうの隠れ引きこもりって言うんでしたっけ? それでも部屋ではネットニュースの書き込み以外にもゲームしたり、電子書籍のマンガを読んだりと個人的には結構やることが多いんですけどね。まあ、マンガも異世界モノばっかりなので『現実逃避だ!』と言われたら返す言葉もありませんけど(笑)」
でも、そんな生活をずっと続けてさびしくないのでしょうか?
「さびしいって感情がよくわからないんです。言葉の意味は理解していますが、そういう気持ちにはならないかな。単に感覚がマヒしているだけかもしれないけど、そもそも中学以降でまともに友達ができた経験ってないし、なんか面倒臭そうじゃないですか。
それにもう30歳だし、普通の大人だってこの歳で友達ができる人ってあまりいないですよね。たまに会ってお酒を飲む程度の付き合いでいいなら適当な趣味のオフ会に参加したってできるし、別に友達がいなくたって構わない気がするんです」
そんな田村さんは自身が社会的に孤独な部類に入ることを自覚。ただし、負の感情はあまり抱いておらず、孤独についてネガティブな報道ばかりするメディアにも懐疑的な考えを持っています。
「孤独という定義に当てはまっていても本当にさみしい人がいれば、反対に1人でいることを望む人もいるのではないでしょうか。私も最初は自ら孤独を求めたわけじゃないですが、今はぼっちでも全然良いと思っています」
特に彼の場合は、不登校や大学中退などを経験しているため、傍目には「孤独=かわいそう」と見えてしまいがちです。しかし、肝心の本人は「余計なお世話」と思っているのも事実。世間からはひとまとめに扱われてしまいがちですが、実際には同じ孤独でもさまざまなタイプの方がいるようです。
―特集・若者の孤独―