■短期間で癒えぬ心の傷

充実した20代の日々が一変した。平成16年7月15日深夜、仕事をしながら続けていた音楽活動を終えた帰り道のことだった。眠気を感じ、仮眠を取ろうとコンビニの駐車場に止めた車内に、いきなり男が押し入ってきた。

首を絞められて繰り返し殴られた。「殺すぞ」「金はあるか」。人のいない場所まで運転するように指示され、震える手でハンドルを握った。恐怖で思うように体が動かず、声も出せない。助けを求めることはできなかった。

真っ暗な農道で車を止めるように指示され、服を脱がされた。暴力と性的暴行が繰り返される地獄のような時間がどれほど続いたのか、今も分からない。体がバラバラになりそうなほど痛く、呆然(ぼうぜん)として涙も出なかったことを覚えている。

被害を申告するために向かった警察署で何度も同じ説明を繰り返し、ようやく帰宅できたのは明け方。言葉を失う母親の姿に心が苦しくなり、犯人は捕まらないままだったが翌週には仕事に復帰した。

家族のためにも早く忘れたいという思いはあったが、心の傷が短期間で癒えるはずはない。「今考えると当時は、被害にあったことを考えないようにしていた」。本当の苦しみはその先に待っていた。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/55b0de0943f7bf89ed34c3e0a2bc52e03e78d90b