米で6分の1の世帯が公共料金を滞納-電気代高騰で過去最悪の危機か
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-24/RH3KU9T1UM0Y01

天然ガス価格上昇に伴う電気料金の高騰が背景にある
電気を止められるケースが多発するとの見方も
エイドリアン・ナイスさんは7月25日の朝早く目覚め、恐れていたニュースを知った。10代の息子と住んでいる米中西部ミネソタ州ミネアポリスの小さなアパートの電気を電力会社エクセル・エナジーが止めたのだ。ちょうど熱波が同市を直撃しようとしている時期だった。

  ナイスさんは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、経済的に苦しく、公共料金を3000ドル(約41万円)余り滞納していた。毎月の明細書に大きく太字で記された「最終通知」という警告によって、
ある程度心の準備はできていたが、それでも冷蔵庫やエアコンの電気が止まったことにいらだちを感じた。気温が向こう数日にセ氏35度に達することが予想されたため、早急に電気を復旧させる必要があった。

  ナイスさんの世帯は、公共料金を滞納している米国の約2000万世帯の一つだ。この数字は同国の全世帯の約6分の1に相当する。全米エネルギー支援協会(NEADA)によれば、これは同協会の記録上で最悪の危機だ。これらの数字の背景には、 天然ガス価格上昇に伴う電気料金の高騰がある。

電気料金の危機は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で天然ガス価格がはるかに大きく上昇した欧州ではさらに深刻だ。ただ、同地域の政策当局者は、家計の生活費支払いを支援するため、多額の資金を投入している。一方、米国では同様の規模の対策を巡る有意義な協議は行われず、相変わらずガソリン価格が懸念の中心となっている。

  電気を止められるケースが多発すると予想していると、全米の公共サービス停止を調査する米生物多様性センターの上級弁護士、ジーン・スー氏は指摘する。

  45歳のナイスさんはハウスクリーニング業者だ。特に電気代がここ1 年でほぼ倍増したため、公共料金の支払いを十分に確保するのが不可能であることに気付いた。ナイスさんの家庭では電気の使用量は減っているものの、月々の料金はほぼ同じで、平均244ドルだ。「どうして電気代がそんなに高くなるのか分からない」と話す。

 ナイスさんの場合、電力の停止は3日間で済んだ。非営利団体のミネソタ州市民公益事業委員会が、支払い計画を巡るエクセルとの交渉を支援した。NEADAのエグゼクティブディレクター、マーク・ウルフ氏によると、米公益会社の顧客で電気を止められた約80%は、数日以内にサービスが復旧している。しかし、残りの20%は立ち退きに近づくか、ホームレス寸前となる可能性がある。 </span>