牧野富太郎博士の名言といえば「雑草という草はない」を思い浮かべる人も多い。しかし、この名言には根拠になる史料がこれまで見つからず、県立牧野植物園も「本当に牧野博士の言葉かどうかは分かりません」と答えるにとどまってきた。博士の人物研究を長く続けている牧野記念庭園記念館(東京・練馬区)の田中純子学芸員は「博士自身の言葉と考えていい」とする見解を17日までに発表した。根拠となったのは作家、山本周五郎が残した言葉だった。

 田中学芸員が根拠となる史料としたのは、木村久邇典(くにのり)著「周五郎に生き方を学ぶ」(1995年、実業之日本社)にある著述。朝日新聞記者だった木村は山本周五郎の担当となってから取材を重ね、周五郎研究の第一人者として多くの著書を残している。同書にはこんな逸話がつづられている。

 昭和3(1928)年ごろ、周五郎(本名・清水三十六)は帝国興信所(現在の帝国データバンク)が出版していた雑誌「日本魂」の記者をしていた。その雑誌の企画の一つに当時の著名人インタビューがあり、牧野博士もその一人だった。

 周五郎が「雑草」という言葉を口走った時、博士はなじるような口調で言ったという。「きみ、世の中に〝雑草〟という草は無い。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている」。周五郎は木村に対し、「これにはおれも、一発ガクンとやられたような気がした」と語っている。

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「雑草という草はない」は牧野富太郎博士の言葉  戦前、山本周五郎に語る 田中学芸員(東京・記念庭園)が見解 | 高知新聞
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