愛知県田原市に住む、小学6年生の森下泰成くん(11)。

森下泰成くん:
トゲみたいな突起があるからトゲナナフシ

大きなネットの中で飼われているのは、トゲトゲした体の虫。本州などで広く見られるナナフシの一種「トゲナナフシ」だ。

虫が大好きな泰成くんは、小学校1年生のときに一匹のトゲナナフシを飼い始めて卵を産ませ、いまでは毎年100匹ほどを育てている。

森下泰成くん:
ここにいるのはメスです。オスがいなくてもメスだけで繁殖する

実はトゲナナフシは、増えるのに交尾を必要せず、メスが自分のクローンを生んでいく「単為生殖」をすることで知られている。

泰成くんが飼っているたくさんのトゲナナフシも全部メスで、基本的にオスが生まれることはない、はずなのだが…。

森下泰成くん:
これはオスかもしれないと思って。「見つけちゃった!」って思って

2022年に生まれたナナフシの中で、6月になっても一匹だけあまり大きくならないものがいて、極めて珍しいオスではないかと直感。専門家に相談したところ、これまで全国で2匹しか報告されていなかった「オス」だとわかった。

このとても珍しいオスのトゲナナフシは、岐阜市の名和昆虫博物館に寄贈された。

体長は約4センチと、メスと比べて半分ほど。オスの鑑定をした館長も興奮気味だ。

名和昆虫博物館・館長:
何十年の間に3例ぐらいですからね。今の野球選手でいけば、大谷さんレベルのすごいことじゃないかなと思うんですけど。これを見逃すと、僕はたぶん死ぬまでもう二度と見られないと思っております

泰成くんは、ただオスを見つけただけではない。
観察する中で彼が撮影した、貴重な瞬間を捉えた映像がある。

メスの背中に乗ったオスが、お尻の部分を近づけ、交尾をする様子だ。

今後はこのメスから生まれた子供のDNAを分析。両親と比べるなどして、非常に珍しいオスの役割を調べる計画だ。

名和昆虫博物館・館長:
単為生殖なのに、稀にオスが出てくる理由ってなんなんだろうと、研究者の中でも非常に色んな説が飛び交っています。諸説をこれから検証できるかもしれないと、非常にワクワクしています

歴史的発見をした泰成くん。夏休みの自由研究は、トゲナナフシが食べる植物について調べている。

森下泰成くん:
(オスは)珍しいものだし、僕だけが見るんじゃなくてみんなにも見てもらいたい
https://news.yahoo.co.jp/articles/40f6582df34bdab95da88ef66be61983edf211e8