日本のスマホ決済参入者は、既存のインフラを頼ることで初期投資を抑えることに成功し、政府が背中を押してくれたためそのインフラに支払う費用も少なくて済んだ。しかし、その果実は消費者や小売業者には行き渡らなかったのだ。むしろ、チャネルが断片化することで小売業者には様々な負担がかかった(価格転嫁で消費者にも負担となったと推定される)。

では、日本の「スマホ決済」、ブラジルのPix、インドのUPIの取扱額(2022年3月)を比較すると以下のようになる。

単位:10億ドル。データソース:一般社団法人キャッシュレス推進協議会、ブラジル中銀、インド決済公社(NPCI)。2022年3月実績値。
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日本のQRコード型の「スマホ決済」は一部で喧伝されるような成功は全く収めていない。

さらに、ここにモバイル決済の覇者、中国を加えると、以下のようになる。

単位:兆ドル。データソース:一般社団法人キャッシュレス推進協議会、ブラジル中銀、インド決済公社(NPCI)、中国人民銀行。2022年3月実績値。中国のみ2021年実績値の12分の1(一ヶ月分)。
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愕然とするような大差を思い知らされるわけだ。インドは日本の59%のGDPにもかかわらず、モバイル決済の取扱額は日本の18倍だ。中国は日本の3.4倍のGDPがあるが、モバイル決済の取扱額は日本の96倍だ。これはSUICAなどの非接触型を含めていないものの、これを足しても大方は変わらない。日本は置いてきぼりを喰っている。

https://www.axion.zone/20202022020025716874/