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コミケ「マナー徹底」で17万人来場 リアル開催の試金石
100回目の同人誌即売会「コミックマーケット（コミケ）」が13、14日に開催され、参加者（来場者）は延べ約17万人と盛況だった。同人誌などを販売するサークル数も約2万となり、イベント需要が回復傾向にあることを印象づけた。集客方法や感染対策でコミケが参考にされるなど、新型コロナウイルス下での大規模イベントの試金石としても注目を集めている
通常、コミケは夏と冬の年2回開かれる。夏の開催は新型コロナ感染拡大による中止を経て、3年ぶりとなる。
13日昼、会場外はスコールのような強雨だった。台風8号の関東直撃で、同日は野外音楽フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル2022」が最終日の公演中止を決めていた。それでも、東京ビッグサイト（東京・江東）にマスク姿の参加者が集結した。会場にはサークルが同人誌を並べる長机がずらりと並び、企業展示にはアニプレックスやKADOKAWA、丸井グループが参加した。
「しっかり手を上げましょう!」「2列の維持をお願いします!」「台車が通りまーす」――。コミケ会場は熱気に包まれ、真っすぐに歩くことも難しかった。人混みの中を、人気サークルのブース方向に数十人の行列が整然と移動していく。横断歩道のように手を上げるのはコミケのルール。一歩間違えれば大混乱に陥りそうな大規模イベントが成立するのは、参加者の「マナー」が秘訣だ。
政府方針などにのっとり、2021年冬のコミケに比べ規制を緩和した。
感染対策として事前チケット制を継続したうえで、入場制限は1日あたり8万5000人と3万人増やした。ワクチン接種証明の確認や会場内の移動制限は撤廃。サークル紹介などを載せたカタログの発行を再開した。コロナ禍前の19年夏は4日間で約3万2000サークルが参加し、延べ70万人超が集まった。その盛況ぶりには及ばないが、再出発は確実に進んでいる。
コミケは50年近い歴史がある。第1回は1975年。東京・虎ノ門にある会議室に32サークル、700人が集まる小さなイベントだったが、アニメやゲーム人気の波に乗って急拡大した。出版社やゲーム会社もファン同士の交流をコンテンツの成長に不可欠と認知し、今では企業ブースも100を超える。「僕もお世話になってきました」。第100回会場に駆けつけた人気漫画家の赤松健氏も、デビュー前からコミケ参加者だ。
秋にはゲーム見本市「東京ゲームショウ」（9月15〜18日）や家電見本市「CEATEC」（10月18〜21日）が3年ぶりのリアル開催を予定している。東京ゲームショウでは最新作の試遊やSNS（交流サイト）映えする豪華な展示の復活が期待されている。
足元では感染拡大が続き、大規模イベントを中止するケースもみられる。感染対策とリオープン（経済再開）のバランスをいかにとっていくか、夏コミケから学ぶことは多い。
