脅しに持参か 包丁入りの袋を容疑者持ち去る 大阪・高槻女性殺害

 大阪府高槻市の民家で会社員の住人女性(当時54歳)が浴槽で溺死した事件で、女性の養子で無職の高井凜容疑者(28)=殺人容疑などで再逮捕=が事件当日の朝、当時の自宅近くで関係者に発見された、包丁入りの不審な袋を持ち去っていたことが捜査関係者への取材で明らかになった。女性宅周辺では午後、凜容疑者に似た人物が包丁を持って歩く姿を防犯カメラが捉えていた。映像や目撃情報から二つの包丁は同一製品の可能性が高いという。

 一方、女性の遺体に包丁で傷つけられたような目立った痕は確認されていない。大阪府警は凜容疑者が女性宅を訪問する際、この包丁で女性を脅して押し入った疑いもあるとみて詳しい経緯を調べている。

 殺害されたのは都市銀行のグループ会社員だった高井直子さんで、亡くなる約5カ月前に凜容疑者と養子縁組を結んだ。

 凜容疑者は2021年7月22日午後、高井さん宅を訪問。総額約1億5000万円の生命保険金を受け取る目的で、高井さんを浴室の浴槽に沈めて溺死させた疑いが持たれている。保険金は支払われていないが、高井さんの預貯金など約1億円は相続されている。

 捜査関係者によると、凜容疑者は当時、東京都港区のマンションに住んでいた。22日の朝、近くにある別のマンション内で不審な袋が放置されているのを管理人が発見。包丁などが詰められていた。

 しばらくすると、凜容疑者がこのマンションに現れ、袋を保管していた管理人に「私の荷物を返してほしい」と主張。詳しい理由を明かさず、袋を持って帰ったという。管理人は不審に思い、警視庁に連絡していた。

 凜容疑者はこの日、新幹線や在来線を乗り継いで高井さん宅に向かったとみられる。高井さん宅周辺の防犯カメラには、サングラスやマスクを着けた凜容疑者に似た人物が包丁を持ってうろつく様子も映っていたことも新たに判明した。包丁を自身の体で隠すように持ち手を変える仕草も確認されている。

 府警が捜査した結果、凜容疑者は高井さんが亡くなる約半年前、国産で全体が銀色の特徴的な包丁2本と砥石(といし)の計3点セットを購入していた。うち1本(全長約25・5センチ)は、不審な袋や防犯カメラで確認された包丁と酷似している。

https://mainichi.jp/articles/20220827/k00/00m/040/055000c
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