インターネットやスマートフォンの普及で、交流サイト(SNS)など通じて手軽に交友関係が築きやすくなった一方、10代の若年層が性犯罪などに巻き込まれるケースが県内でも相次いでいる。SNSなどをきっかけとした児童買春や児童ポルノ関連事件の被害者は2021年までの過去5年間で、計112人に上り、県警は子どもたちだけではなく、保護者にも子どもの行動に関心を持つよう注意を促している。

 県警人身安全少年課によると、SNSがきっかけとなるケースが多い児童買春関連の被害者は56人、裸の写真や動画を撮られるなどした児童ポルノ関連も56人だった。今年の児童買春関連の被害者は6月末までで5人。児童ポルノ関連が8人と、昨年1年間の総数に並んだ。

 ご飯を食べに行こう―。庄内地方の30代男は19~21年、こうした言葉で県内の複数の女子高校生を誘い出し、自宅やホテルでみだらな行為をし、動画や写真を撮影していた。男が使ったSNSは「インスタグラム」や「ひま部」で、食事に誘い出した後は、ファストフードをおごったり、安価なアクセサリーをプレゼントしたりして気を引き、交際を申し込む手口で犯行を繰り返していたという。今月5日、児童買春・ポルノ禁止法違反と県青少年健全育成条例違反の罪で有罪判決を受けた。

 狙われるのは少女だけではない。最上地方の30代男は20年12月、「悩み事を聞いてあげる」などと言ってSNSで知り合った県内の少年を誘い出し、みだらな行為をしたとして略式起訴され、罰金30万円の命令を受けた。

 県警は20年3月からサイバーパトロールで児童買春などにつながりそうなツイッターの書き込みを見付けると、人身安全少年課公式アカウントから大人と子ども双方に警告メッセージを送っている。

 同課は▽ネットで知り合った人とは会わない▽名前や住所など個人情報を教えない―ことが重要と話す。また、画像データは一度ネットに流出してしまうと、全ての写真を削除することは事実上、不可能になる。担当者は「裸や下着姿の写真はネットで知り合った人だけでなく、学校の友人ら仲の良い人にも送らないように」と強く訴える。

 また、被害に遭った子どもたちの約9割がスマートフォンのフィルタリング機能を使っていない現状を指摘。保護者にアプリの個別の許可や年齢に応じた利用時間の設定を勧め、「子どもたちがゲームやSNSで知らない人とつながる可能性を認識し、利用状況をしっかり把握してほしい」と話している。

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