ロシアで、日本の中古乗用車の輸入が増加している。新車供給が滞る中、高品質な中古車の需要に応え得るのが日本からの輸入中古車という背景がある。

2022年6月の財務省貿易統計によると、日本からロシアへの中古乗用車輸出は189億9,300万円(前月比2.1倍)、1万7,294台(56.6%増)となり、ウクライナへの侵攻以前の水準を超えるほどに伸びた(添付資料表参照)。日本は、4月5日からロシア向け奢侈(しゃし)品輸出禁止措置を施行しており、600万円以上の高級自動車も輸出禁止の対象となった。しかし、この金額未満の自動車は禁止措置の対象外で、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降も輸出が続いている。

ロシア側統計でみても、日本からの中古車輸入が突出している様子がうかがえる。2022年にロシアに輸入された中古車は日本製が最も多く、第1四半期には輸入中古車全体の86.6%、第2四半期は87.4%を占めた。2位のベラルーシは第1四半期3.9%、第2四半期2.8%だった(自動車専門調査会社「アフトスタト」8月16日)。

日本の中古車需要が拡大している背景には、国内で新車が不足する(2022年5月18日記事参照)中、日本から輸入した中古車は品質が高いことがある。日ロの仲介業者が、日本で行われるオークションを通じて、厳格に品質評価された車を買い付けられるためだ。

2022年のロシア乗用車市場が縮小すると見込まれる中(2022年8月2日記事参照)、中古車市場は拡大しそうだ。アフトスタトのエグゼクティブディレクターであるセルゲイ・ウダロフ氏によると、2022年1~5月にロシアで販売された乗用車は、中古車が5、新車が1という割合になっている。ウダロフ氏は、2022年末にはこの比率が10対1~15対1になり得るとし、中古車市場のさらなる拡大を示唆した(「実業ペテルブルク」6月16日)。

(小野塚信)


https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/08/595474ced7cfd5b9.html