動物の保護は難しい。例えば、アフリカゾウを守る方法だ。自然死した個体から象牙を集めて中国や日本などに売却すれば、大きな収入になる。それを保護の資金に充てることができれば有効活用になるはずだ
▼ゾウを密猟から守るパトロールの費用にも使えるし、保護のため地元の住民が土地利用を我慢しているなら、その分の補償にも回せるだろう。しかし現実は厳しい。象牙の国際取引は原則禁止されているからだ
▼理由は密猟者を完璧に取り締まることが不可能なことにある。高値で取引される市場の存在が密猟を助長し保護の妨げになっていると判断されている。近年は各国内での取引を禁止する動きも強まっている
▼「守れ」だけでは必ずどこかにしわ寄せが行く。増えたゾウが農作物を食い荒らし、人身被害も引き起こしている
▼沖縄県の久米島の海岸で7月、30匹以上のアオウミガメが漁師に刺された。絶滅危惧種ではあるが、漁師にとっては海藻や養殖のモズクを食べたり、網に引っかかって漁の妨げになったりするいわば害獣となっていた
▼生息数が増えてきたのであれば、行政と専門家、漁師らが話し合い、保護・管理の枠組みを作るべきだった。生息数を増やすなら、漁業者に保護を手伝ってもらい報奨金を渡すことも考えられる。今からでも議論すべきである。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/622333