「野球のフォークボールが落ちるのに『負のマグヌス力』がかかっていることが、スーパーコンピューターの解析で初めて分かったんだって。これ、すごいことなの?」
ある日、科学技術の取材を担当する同僚記者が、ある大学のプレスリリースを片手に困惑した様子で、聞いてきた。
野球経験がない彼は、この研究の何がすごいのか分からない様子だ。
しかし、大学野球で投手をしていた私にとっては、あまりに衝撃的な知らせだった。
フォークボールは、回転を減らしたボールが重力の影響を強く受け、落ちるーーー。
それは野球人にとって揺るがない常識だった。
かつて変化球にこだわり、いや、今もこだわっている投手の1人として、この研究、どうしても追わざるを得ない。
まるで消えるように、鋭く落ちるフォークボール。
魔球とも呼ばれる、その正体が見えるかもしれないと、思った。
消える魔球「フォーク」
ホームベース付近で急激に落ちるフォークボール。
終戦直後のプロ野球の黎明期、元中日ドラゴンズのエース・杉下茂さんが日本で初めて投げたとされる。そして、元近鉄の野茂英雄さん、「ハマの大魔神」こと元横浜・佐々木主浩さんも、このボールを武器に海を渡り、大リーガーたちから三振の山を築いてきた。
最近では楽天の田中将大投手、そして昨シーズン、二刀流で活躍し、MVPを獲得した大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手も、このボールの使い手として知られる。
筆者の自宅にある野球盤
フォークボールは「消える魔球」とも呼ばれ、子どものおもちゃの野球盤でもホームベースの手前に開け閉めできるフタで、ボールが落ちて消えるような様子が再現されている。
(以下ソース)
魔球の正体、スパコンでここまでわかった。~俺のフォークは落ちている~
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2022/03/special/forkball/