いつも怒っている人権運動のゴッドファーザー 日本にも容赦なし(朝日新聞デジタル)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e45334efe151cf040c8dce89a9907c35facfd144
■今月末で人権団体代表を退く ケネス・ロスさん
人権運動のゴッドファーザーと評される。いつも怒っている。でもあくまでも冷静に、理性的に。それでいて手加減もしない。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)の代表を今月末に退く。人権に携わり41年、代表として29年。「組織が強い時に」と引き際を決めた。
政府も権力も、どこまでも膨らみうる。ナチス・ドイツから逃れた父にそれを学んだ。「悪を防ぎたい」と法律家に。著名な法律事務所や連邦検察で経験を積み、副代表としてHRWに入った。
無名で職員20人。法曹仲間は、「クレージーだ」と笑った。そこから、600人が100カ国の人権状況を調べる組織に育てた。
人権とは「充実した人生を送るために必要なもの」。それを軽んじる政府を告発する。もちろん、疎まれる。監視を強める中国を非難して香港入りを拒まれ、ウクライナでの国際法違反を訴えてロシアから事務所を閉鎖された。
日本にも容赦はない。「一つ、差別を禁じる法律がない。二つ、死刑を含めて刑事司法制度が遅れている」。反論は大歓迎。民主主義の高みへ、向き合って話そう。
人権を守ることは使命であり、自らを定義づけるもの。「HRWは去れど、ヒューマンライツ(人権)運動からは去らない」。まずは1年間、経験を本に記す。それはきっと、後進の教科書になる。(藤原学思)