銃・爆発物の製造情報、SNS事業者に削除要請 警察庁、23年度から

https://mainichi.jp/articles/20220830/k00/00m/040/129000c
安倍晋三元首相(67)が街頭演説中に銃撃されて死亡した事件を受け、警察庁は来年度から、インターネット上で銃器や爆発物の製造に関する情報が確認された場合、「有害情報」としてネット交流サービス(SNS)などの運営事業者に削除要請する方針を決めた。事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=はネット上の動画を見て銃を手作りしたなどとされ、警察庁は削除要請を通じ、銃や爆発物が自作されることを未然に防ぐ。

人を殺傷するための銃器は、使用することはもちろん、所持することも銃刀法で厳しく規制されている。警察当局はこの規制を通じて拳銃などの流通を抑えてきたが、近年はネット上の情報から拳銃などを自作するケースが増えており、新たな対応を迫られていた。

 今回、警察庁が「有害情報」として削除要請の対象とするのは、3Dプリンターなどを使った銃の設計図や、爆発物の調合方法など。今後、委託事業者向けのガイドラインを改定し、具体的に該当するケースを決める。

警察庁は関連費用を2023年度予算の概算要求に盛り込み、サイバーパトロールを委託している民間事業者の人件費など9700万円を計上した。警察庁の委託によりネット上の違法・有害情報を受け付ける「インターネット・ホットラインセンター」で一般からの通報にも応じる。

 銃が自作されるケースは近年相次いでいる。神奈川県警は14年、ネットで入手した情報をもとに拳銃を製造したとして、武器等製造法違反などの疑いで元大学職員の男性を逮捕。18年9月には、3Dプリンターで製造したプラスチック製の拳銃を所持していたとして、当時19歳の男子大学生が銃刀法違反容疑で愛知県警に逮捕されている。