https://news.yahoo.co.jp/articles/91426c5126b1097579ecf734b6a4eec0bf158b7f
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日本有数の温泉街である日光の鬼怒川温泉。その一部で廃業した大型ホテルなどの建物が放置され、「日本の九龍城砦」などとしてSNSで度々、
話題になっています。地域では不法侵入により撮影された動画や写真が拡散し、風評被害につながるという困りごとも。日光市に話を聞きました。(withnews編集部・朽木誠一郎

栃木県日光市の鬼怒川温泉は、その名の通り、谷間に流れる鬼怒川周辺に温泉街が発展しています。
右岸は大規模ホテルや旅館が立ち並び、日本有数の温泉街のイメージそのものですが、左岸にはそれにそぐわない光景が広がります。

それが崖に張りつくようにして建てられ、現在は放置される巨大な廃ホテル群です。独特の雰囲気を放つ鬼怒川温泉の廃ホテル群はネットでも度々、
話題になり、「日本の九龍城砦」などと呼ばれることもあります。

報道陣に公開された廃ホテル内には、落書きなどのイタズラの跡も。物品やゴミが放置されており、窓ガラスが割れたり、階段が崩落したりするなど、荒んだ様子です。

話題になる廃ホテルは主に3つで、8~10階建て、高さは20~30メートルほど。しかし、これらのホテルは1999~2008年ごろに廃業したもの。
廃業から10~20年ほどが経過した今も、解体されないのはなぜなのでしょうか。日光市を取材しました。

同市担当者によると、建物が今も残されているのは「権利関係が複雑だったり権利者の所在がわからなくなったりしているため」。そのため、解体工事に着手できていないと言います。

また、費用の面も大きいそうで、過去には専門家の推計で、一つの施設につき「十数億円はかかる」とされたこともあるそうです。
数億円以上という工事の予算感が見込まれているとのことでした。

そもそもが崖に張りつく立地であり、劣化したコンクリートが崩落するなど危険な状況で、同市としては現在、
栃木県警や宇都宮大学と連携し、空き家対策特別措置法に基づく調査を始めたところだとします。

また、関連して地元の人たちを悩ませる、別の問題も。それがこうした建物への不法侵入です。いわゆる「廃墟マニア」の一部がこれらの建物を勝手に探索し、
その様子を写真や動画でSNSや動画共有サイトにアップする例があとを絶たず、怒りの声が上がっているそうです。

こうした行為は不法であるだけでなく、観光地のイメージを下げ、風評被害にもつながると同市担当者。
「話題になっている建物は温泉街のほんの一部。コロナ禍で大きな影響を受けた観光地として、いいところも見てほしい」と訴えました。