政府が「国葬」ではなく「国葬儀」と言う理由

野村)政府は「国葬」ではなく、「国葬儀」と言っています。これは「かつて行われていた国葬とは違う」ということを示しているのです。

新行)これまでの国葬とは違う。

野村)「内閣府設置法」という法律のなかに「国の儀式ができます」と書いてあるので、その1つとして行うということなのです。今回は、ある意味「国の儀式」として行いますと。だから「国葬」ではなく、「国葬儀」と呼んで整理しているということなのです。

新行)内閣府設置法に則って、国の儀式として行うと。
「国民の権利を侵害するような内容を含んでいるかどうか」 ~法的根拠があるかどうかのポイントはここ

野村)確かに内閣府設置法という法律が一応ありますから、法律に基づいていることは明らかであり、法的根拠がまったくないというわけではありません。しかし国の事柄、やれることを全部法律でこと細かく手続きから何から決めているかと言うと、そんなことはなくて、国民の権利を制限するような行為については、法律をきちんとつくりましょうというルールなのです。

新行)国民の権利を制限するような行為については。

野村)今回の国葬儀においては、「国民の権利を侵害するような内容を含んでいるかどうか」というところが、法的根拠があるかどうかのポイントになります。
休みにしない、弔意を強要しない ~国民の権利を制限しないので閣議決定さえすれば行うことができる

野村)一見すると「国の全額負担で予算を使う」ということだから、「国民の税金を使っているので国民の権利を侵害している」となりがちなのですけれども、「全部法律に書かないと予算を執行できないのか」と言うと、そんなことはありません。ある程度、内閣の裁量の余地がある。

新行)内閣の裁量の余地がある。

野村)では、「国民の権利を制限する」とは何かと言うと、例えば思想・信条の自由、信教の自由などです。そういうものを制限するようなセレモニーなのであれば、きちんと法律をつくりましょうという話になっているのです。

新行)その権利を制限するのであれば。

野村)だから政府は「この日はお休みにはしません。儀礼的なことに対して弔意を強要することはしません。国民は自由にしていてください」と言っているのです。「国民の権利を侵害しないので、閣議決定さえすればできる」という整理になっています。

新行)国民の権利を制限しないことなので、閣議決定すれば。

野村)この辺りのことは野党も知っているはずです。「法律があった方がいいよね」という部分はありますが、それ以外のところはなくなっているということではないでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8677df5ab5be54398f966a90f08fbdabbd8bdd56?page=2