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元女子プロレスラー ブル中野さん アルコール性肝硬変 膨らんだおなかを見た夫に連れられ病院へ
一病息災
有名人に、病気や心身の不調に向き合った経験を聞く「一病息災」。今回は、元女子プロレスラーのブル中野さん(54)のお話です。
2012年1月、16年越しの引退セレモニーを開いた。晴れ舞台に向け、50キロ台だった体重を現役時代に近い100キロ程度まで増やした。それをきっかけに体重の増減を繰り返し、気付いたら、自力での減量ができなくなっていた。
現役時代の靱帯(じんたい)断裂の後遺症もあり、重い体ではうまく歩けず、減量のため、胃の大半を切除する手術を受けた。体重は落ちたが、「固形物は少ししか食べられなくなり、糖質をお酒でとるようになりました」。
手術後の経過観察で受診するようになると、「肝臓に関する検査数値が悪い」と指摘され、入院を勧められた。
理由をつけては先延ばしにするうち、体に異変が表れた。皮膚がボロボロとむけ、髪の毛も抜け落ち、おなかだけが膨らんだ。
インターネットで調べ、腹水がたまっているとわかったが、入院はしなかった。プロレス解説などの仕事に穴を開けたくなかった。
20年6月、着替え中に、膨らんだおなかを見て驚いた夫に連れられ病院へ。酒の飲み過ぎによる肝硬変と診断された。脂肪肝から始まり、肝炎などを経て起こる肝臓病の最終段階だ。
入院し、治療が始まった。
検査では、大腸に多数のポリープが見つかった。がん化の恐れがあるとして切除したが、肝硬変の影響で出血が続いた。口から食事をとれず、16日間、鎖骨の近くから入れた管で栄養剤を注入し命をつないだ。
退院後、お酒は一滴も飲まず…朝の目覚め「すがすがしい」
黙々と薬を飲み続け、自宅に戻れたのは、2か月後のことだった。
退院後は、医師から言われたことを、素直に守っている。塩分は、1日に7グラムまで。胃が小さく、たくさん食べられないので、肉や魚などのたんぱく質を優先的にとり、野菜はその次、糖質は最後。お酒は一滴も飲んでいない。
自分のやりたいことは、全部やった。「いつ死んでもいい」と思って生きてきた。でも、医師たちに命を救われ、夫や両親にも支えられ、考えが変わった。
「私の命は、自分だけのものじゃない。家族や先生、仲間、ファンの皆さん――。これからの人生は、私に関わった人たちのために生きたい」
長年の飲酒で酷使したために硬くなってしまった肝臓は、治療しても元には戻らない。今の状態を維持するしかない。そう知ったのは、つい最近のこと。「じゃあ、もう一生、お酒は飲めないんだ」と思ったが、意外にもショックはなかった。
今は、東京と地方を行き来しながら、仕事とゴルフの毎日だ。「朝起きて、二日酔いの頭痛もなければ、歯を磨いて気持ち悪くなることも、胃がもたれることもない。目覚めがこんなにすがすがしいのは、小学生の時以来」。酒のない暮らしを、心から楽しんでいる
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