サイバーパンク作家の古いジョークに、「サイバーパンクは警告である、決して提案ではない」という言葉がある。悲しいかな、デジタル技術がグローバル・サウス(南側発展途上国)の労働環境の劣悪さを悪用したハイテク搾取工場を生み出し、すべての地域の労働条件を悪化させていくという私の寓話的ストーリーは、そのサイバーパンク・ジョークのオチを体現してしまった。こうした物語は何度も何度も、ありとあらゆるグローバルなデジタル労働搾取とグローバルなデジタル労働連帯の試金石となってきたのである。
だが、このような物語は、現状を説明するアナロジーとして用いられるだけでなく、まさしくその通りに実現してしまうこともある。ブロックチェーンベースのPlay to Earn(遊んで稼ぐ)のようなNFTに感染したゲームの世界がまさにそれだ。その旗手はスキャンダルを起こしたAxie Infinityである。
今週、私の言及は「Torment Nexusを作ってはいけない」(訳注:Torment Nexusは「人類のために決して作ってはいけないもの」を指すミーム)というジョークばかりになった。Rest of Worldに掲載されたネイリン・グレイ・デサイの素晴らしい記事――Play to EarnのMinecraft/ブロックチェーンゲーム、Critterzの隆盛と崩壊――を参照したものだ。
https://restofworld.org/2022/minecraft-nft-ban-critterz/
Critterzはもともと別のブロックチェーンゲームを展開していたが、ある致命的なミスを犯してしまう。Minecraft上にバーチャル搾取工場を構築してしまったのだ。Minecraftの開発会社Mojang(Microsoftの子会社)はNFT統合を禁止し、次のように述べている。「ブロックチェーン技術は、当社のマインクラフトクライアントおよびサーバアプリケーション内に統合することは許可されておらず、ワールド、スキン、パーソナルアイテム、その他のMODを含むすべてのゲーム内コンテンツに関連するNFTの作成に利用することもできません」。
Critterzが発行したゲーム内通貨はあっという間に暴落し、プレイヤーたちは――実際にゲームをプレイしていた貧困層も、その成果を買い上げていた富裕層も――出口(exits)に殺到することになった。
MinecraftがNFTを禁止しようとしまいと、Play to Earnの問題は深刻だ。このセクターが新たなライフラインを模索する中、『Torment Nexus』そのままの荒唐無稽なアイデアが飛び出してきている。デサイが取材したNFTコンサルタントのミハイ・コサールは、富裕層のゲーム体験を豊かにするために、貧困層がノン・プレイヤー・キャラクター(NPC)になりきることがPlay to Earnの未来の姿かもしれないと話す。彼らは「ゲームの世界にただ住んで、あれこれ仕事したり、行ったり来たりのおつかいをして、釣りをしたり、話をしたり、店番をしたり、どんな雑用でもこなす」ようになるのだろう。
もう1つ、「AI」は「Absent Indians(見えないインド人)」の略、というテックジョークも紹介しておこう。この世界でやり取りしている「AI」は、実はボットを装った低賃金で働くインド人だったというジョークである。
念を押しておくが、このジョークは警告として言っているのであって、決して提案ではない。
https://p2ptk.org/digital-rights/3834