壺が割れた

暗号は「ロンドン橋落ちた」 女王死去に備えた英国の綿密な作戦

9/11(日) 8:53配信

エリザベス英女王の死去に備え、英王室や首相官邸が1960年代から準備してきたとされる
行動計画の存在が話題になっている。コードネームは「ロンドン橋作戦」。
その日、王室関係者や政府要人がどのような行動を取るかが策定されていたという。
いったいどんな作戦なのか。

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「長く秘密とされてきた英政府の作戦、コードネーム『ロンドン橋作戦』が明らかになった」。
昨年9月、米政治サイト「ポリティコ」がその内容を入手したとして詳細に報じた。
王室や首相官邸、軍などの限られた関係者が年に数回会議を開き、内容を練っていたという。
ポリティコや英紙ガーディアンなどによると、女王死去の日は「Dデー」と名付けられた。
軍事用語で重要作戦開始の日とされ、第二次大戦中に米英などの連合国軍によるノルマンディー上陸作戦の日も「Dデー」と呼ばれた。

死去した場合、まず女王の秘書が首相に電話で「ロンドン橋が落ちた」と伝える。
この言葉は、英国で伝承されてきた歌謡・童謡の「マザーグース」の一節だ。
その後、女王が元首を務める英連邦(コモンウェルス)諸国などに知らせが届く。
ちなみに女王の父のジョージ6世が1952年に死去した際は、「ハイドパーク・コーナー」との隠語が使われたという。

8日に女王が死去した正確な時間は不明だが、
トラス首相には午後4時半に伝達されたと報じられている。
王室が正式に公表したのはその2時間後の午後6時半。この間、秘密保持は徹底された。

作戦の策定段階では意見の相違もあったらしい。
作戦では、首相官邸などは発表から10分以内に国旗をすべて「半旗」にすると定められた。
だが官邸側は数年前、「死去の時間帯によっては、旗を扱う職員が職場にいるとは限らない」との理由で「10分以内」の案に難色を示したという。ただ今回は大きな混乱もなく、速やかに半旗にされた。

また、公共放送BBCなどメディアへの伝達方法や、英王室が死去を発表する際のホームページのレイアウトなども詳細に決められていたという。

作戦は女王死去から国葬までの行事の手順も定めている。
新国王チャールズ3世による当面の公務も作戦に組み込まれており、これは国民に向けた「お披露目」も兼ねている。

女王が息を引き取る場所が首都ロンドンとは限らないため、
今回のように静養先のスコットランドで亡くなる場合も想定した「ユニコーン作戦」も用意されていた。
女王のひつぎをロンドンに運ぶ段取りなどが定められているという。【ロンドン篠田航一】

https://news.yahoo.co.jp/articles/e2ff47620636ef5f3e1301d78d08837b2d3593ec