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葉月ちゃん2学期スタート ある日突然、手足動かなくなり… どうする?医療的ケア児の通学支援
2年前、突然の病で手足が動かなくなった渡邊葉月ちゃん。この春から特別支援学校に通っていますが、葉月ちゃんのように医療的ケアが必要な子どもの通学には様々な課題もあります。
旭川市に住む渡邊葉月ちゃん(10)。夏休みはあっという間でした。
葉月ちゃん:「ずっとぐうたらしてた。(宿題は)ゆっくりやって、最後の方で焦ってやるタイプ」。
8歳の誕生日を過ぎるまで、元気いっぱいでした。そんな葉月ちゃんを2年前の3月、突然、病が襲います。
母・千香子さん:「朝、普通に起こしに行ったんですけど、葉月の声がして『立てない』って。訳がわからないというか、何が起こっているのかわからない状態でした」。
「毛様細胞性星細胞腫」。首の中の脊髄に腫瘍ができ、神経を圧迫。首から下を、ほとんど動かすことができなくなってしまったのです。手術で腫瘍を全て取り除くことはできず、人工呼吸器もつけることになりました。
今年4月から2年ぶりに学校に通うことになりましたが、24時間介護が必要な葉月ちゃんにとっては、簡単なことではありません。母・千香子さんが車で送り迎えできるよう、オーダーメードのカーシートを作りました。
千香子さん:「学校に通うためには移動支援が使えないので、原則親が送り迎えをしなきゃいけないらしいんですよ。それもあって作ったんです」。
旭川市では、毎日の通学に対しガソリン代の支給の他は経済的な支援がないのが現状です。
先週から2学期がスタート。葉月ちゃんの成長に合わせて、車椅子も新しくしました。
政宏さん:「背中のところも娘に合わせて、包み込むような感じ。正しい姿勢に近い感じになる。前の車椅子よりは起こせるようになった」。
葉月ちゃん:「気に入ってる」。
千香子さんは、葉月ちゃんと弟の涼月くんを学校と保育所に送ってから職場の美容室へ。家を出てから、およそ1時間半かかります。
千香子さん:「毎日仕事に行けているわけじゃないし、仕事量は少ないと思います。うまくいくなら(もっと)お仕事させていただきたい」。
去年「医療的ケア児支援法」が施行。医療的ケア児に対する国や自治体による支援は、「努力義務」から「責務」となりました。法の施行を受け今年6月には、札幌に家族からの相談を受ける「支援センター」も開設されましたが、医療的ケア児の通学に伴う親の負担が解消したとは言えません。
北海道医療的ケア児等支援センター・土畠智幸センター長:「医療的なケアは痰の吸引が一番多い。移動中にも必要な場合は、保護者か看護師さんが一緒に乗るか、痰の吸引ができる介護職もいるので、そういう方々に乗っていただくことになるが、そこまで保証する制度は、いまのところはない」。
医療的ケア児に対する通学支援を、独自に実施する自治体があります。十勝の音更町です。
音更町から帯広市内の特別支援学校に通う、中学1年生の岡田心菜さん(12)。重度の脳性麻痺で、複数の医療的ケアが必要です。
町は地元の市民団体などに委託し、看護師を乗せた介護タクシーで医療的ケア児を週2回まで送り迎えする体制を整えました。
看護師:「いつもの心菜ちゃんと違うところがないか見ながら。酸素の値に問題がないか、脈が速くないか気を付けて見るようにしています」。
片道およそ30分の道のり。この日は、2回車を停めて痰の吸引をしました。
以前は、1人で送り迎えしていた心菜さんの母親はー。「渋滞に巻き込まれるとサクションができなくなっちゃうので、夏でも(片道)30分かかるんですけど、冬はもっとかかる。途中まで出て諦めて戻ってきたこともあるし、もう無理だと思って引き返してきたこともある」。
どこに住んでいても、障害があってもなくても、子どもたちが等しく教育を受けられるように…。
千香子さん:「学校に通ったらやっぱり刺激が全然違いますよね。学校に行って勉強することを、やりたくてもやれてない子がたくさんいると思います。本当どうしてるんですか、これ。私は運転免許証持っているけれど、運転免許証を持ってないお父さん、お母さんもいると思う」。
葉月ちゃんが突然倒れてから2年あまり。学校に通い始め、家族以外の人との関りも増えました。体の回復だけでなく