大津市の天台宗総本山・比叡山延暦寺で12日、織田信長による焼き打ち(1571年)の犠牲者を悼む法要が営まれた。
信長の子孫という会社員織田茂和さん(44)(東京都)も参列。敵と味方を区別しない仏教の「怨親平等」の思想に基づき、信長らも併せて供養した。

焼き打ちでは比叡山や同市坂本一帯が焼かれ、多くの僧侶や庶民らが犠牲になった――と伝わる。
延暦寺は1992年、遺品を埋めた鎮魂塚(高さ約5メートル)を築き、焼き打ちがあった9月12日に法要を実施。本能寺の変(1582年)で同じく火に包まれて死去した信長らも慰霊している。
法要では僧侶6人が塚の前で読経。参列した約20人も焼香し、全ての犠牲者を悼み、争いのない世が続くことを祈った。

織田さんは焼き打ちから450年の節目となった昨年、招待されて比叡山を初めて訪れ、法要やシンポジウムに臨んだ。
今年は自ら望んで参列したといい、「比叡山や坂本へは行ってはいけない人間だと長らく思ってきたが、延暦寺が信長を供養してくれていることを知り、心からありがたく思った。
来られること自体が幸せ。末裔の一人として今後も参列し、祈りをささげていきたい」と語った。
https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/09/20220913-OYT1I50058-1.jpg
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220913-OYT1T50104/