兵庫県立神出学園(神戸市西区)を管理・運営する県青少年本部は13日、損害保険会社の代理店をかたり、生徒向け傷害保険の保険料などをだまし取ったとして、この代理店を営んでいた男性(61)=同県尼崎市=を詐欺容疑などで神戸西署に刑事告訴したと発表した。被害は23年間に及び、延べ約4900人が計1980万円を詐取されたとしている。告訴は8月31日付。

 神出学園は不登校の子どもやひきこもりの若者を対象にした全寮制のフリースクール。

 同本部によると、神出学園は開学した1994年から問題の代理店と契約。当時は正規の代理店で、生徒の負傷などに備え、入学時に保護者から約2万6千円の保険料を徴収。学園が開く体験会参加者向けの保険も契約し、1回100~300円を集めていた。

 男性と損保との代理店契約は99年6月に解除されたが、男性は学園側に伝えず、そのまま保険料の徴収を継続。学園には虚偽の保険証券を発行していた。

 今年6月、保険の見直しを検討していた別の県立施設が同学園の事例を参考にしようと損保に確認し、加入実態のないことが判明した。学園側の調査に男性は「代理店契約の解除時に引き継ぎ先を探したが見つからず、言い出せなかった。できる限り償いたい」と釈明したという。

 告訴状では、書類上で確認できた2018年以降の約320万円分を被害額として訴えている。男性は代理店契約の解除後も、生徒側の請求に応じて保険金を支払っており、トラブルはなかったという。

 県青少年本部は「本物によく似た保険証券もあり、だまされていることに気付けなかった。今後は加入時の確認を徹底したい」と説明。卒業生も含め、立て替えによる保険料の返還も検討するという。(田中陽一)

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