https://news.yahoo.co.jp/articles/684a3f8080edfef799a9e8ac90dd092d24f655aa

妻は「ろれつ回らず、服を脱ぎながら冷たい風呂に」…容疑者は職場のメタノール持ち出せる立場

妻に有毒の「メタノール」を飲ませるなどして殺害したとして、警視庁は16日、製薬大手「第一三共」(東京都中央区)研究員の吉田佳右(けいすけ)容疑者(40)(大田区西馬込)を殺人容疑で逮捕した。妻の胃の内容物からメタノールが検出され、警視庁は食事に混ぜた可能性があるとみている。

 発表によると、吉田容疑者は今年1月14〜16日朝の間、自宅マンションで、同居する妻で会社員の容子さん(当時40歳)にメタノールを摂取させ、急性メタノール中毒で死亡させた疑い。調べに「妻に殺意を抱いたことはなく、家にメタノールを持ち込んだこともない」と否認している。

 吉田容疑者は同日午前7時45分頃に「意識がない状態で倒れている妻を発見した」と自ら119番した。容子さんは搬送先の病院で死亡が確認された。遺体に目立った外傷はなかったが、行政解剖の結果、胃の内容物や血液などから致死量のメタノールが検出された。

 メタノールは、メチルアルコールとも呼ばれるアルコールの一種で、警視庁によると、口から摂取すると30〜240ミリ・リットルで死に至る可能性がある。

 吉田容疑者は逮捕前の任意の調べに「妻は前日朝に嘔吐(おうと)していたが、二日酔いだと思った」と説明。「ろれつが回らず、ベッドから落ちたり服を脱ぎながら冷たい風呂に入ったりしていた」とも供述したという。

 だが、容子さんがメタノールを購入した形跡はなく、室内の捜索でもメタノールは見つからなかった。外部から第三者が侵入した形跡などもなく、警視庁は、吉田容疑者が容子さんの食事にメタノールを混ぜるなどして飲ませた上で、飲酒による体調不良を装った可能性があるとみている。

 吉田容疑者は第一三共の品川研究開発センター(品川区)で薬品の研究開発を担当しており、職場にあるメタノールを持ち出せる立場だったという。

 知人らによると、吉田容疑者は北海道大大学院を修了後、2007年4月に第一三共に入社。容子さんも第一三共の元研究員で、結婚後に容子さんが退社し、現場マンションで子どもと3人で暮らしていた。