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タンス預金はどうして税務署にバレるの? バレたときのペナルティーは?

タンス預金などの方法で、金融機関を介さずに財産を貯めておいても、税務署にはバレてしまうと聞いたことがある人もいるでしょう。税務署は独自のシステムでお金の流れを詳しく把握しているため、財産を隠すのは難しいのです。

本記事では、税務署にタンス預金がバレるといわれる理由や、実際に納税の不正が税務署に発覚する件数、不正が発覚した際のペナルティーについてまとめました。

タンス預金が税務署にバレる理由
タンス預金がなぜバレるかというと、税務署が国税総合管理システム(以下、KSKシステム)を用いて、支払調書などをもとにお金の流れや個人の所得水準などを詳細に管理しているためです。

例えば、「ある人の支払調書の金額などから予測される所得水準と比べて、その人が亡くなったときの相続税の申告納税額が少ない」など、システム上のデータと税金の申告内容に食い違いがあるとしましょう。すると、KSKシステムは相続人に財産隠しの可能性があると判断し、税務調査の対象者に選定します。

その結果、税務署が税務調査に乗り出し、タンス預金など金融機関を介さずに貯めていた財産が明らかになるケースが多いのです。

タンス預金などによる不正は実際にどのくらい見つかっている?
税務調査など税務署からのアクションによって、タンス預金などの不正は実際にどのくらい見つかっているのでしょうか。

実地調査は令和元年度で1万件あまり、令和2年度は5000件あまり行われており、いずれの年も非違割合は85%超と、大半のケースで違反が見つかっています。このことから、KSKシステムなどを利用した税務署の資産把握能力は、非常に精度が高いといえるでしょう。

また、文書や電話などによる簡易的な接触に関しても、両年度ともに2000〜3000件ほどの非違が発覚しています。
タンス預金の無申告がバレると重いペナルティーがある
タンス預金で意図的に財産を隠し税金の申告をしなかった場合、本来納めるべき税額を徴収されるだけではなく、ペナルティーが課せられます。主なペナルティーは「延滞税」と「重加算税」の2つです。

■延滞税
納税が遅れた場合に、法定納期限の翌日からの経過日数に応じて自動的に加算される、利息にあたる税金です。延滞税の金額は、納付日までの経過日数に応じて次の割合で計算されます。

※令和3年1月1日〜令和3年12月31日の割合
●納期限翌日から2ヶ月まで:年2.5%
●納期限翌日から2ヶ月を経過以後:年8.8%

令和4年1月1日〜令和4年12月31日の割合
●納期限翌日から2ヶ月まで:年2.4%
●納期限翌日から2ヶ月を経過以後:年8.7%

■重加算税
税金の申告を怠った場合、本来の税額に対して5〜20%の無申告加算税が課せられるのが一般的です。また、税額を少なく申告すると、不足した税額の10〜15%の過少申告が課せられます。

しかし、財産を意図的に隠すなどの悪質な違反があった場合には、無申告加算税や過少申告加算税に代わり、より課税割合が大きい重加算税が課されます。

重加算税の割合は、無申告の場合本来の税額の40%、財産を少なく申告していた場合は本来の税額の35%です。また、過去5年以内に無申告加算税または重加算税の課税歴がある場合は、さらに10%が上乗せして加算されます。

税務署にタンス預金を隠し通すのは難しい
税務署はKSKシステムなどの情報網を駆使して、個人の財産の状況を把握しています。そのため、タンス預金で多くの財産を隠し通すのは困難でしょう。

タンス預金による財産隠しなどの不正が発覚した場合、重加算税などのペナルティーが課される可能性があります。そうなると本来の税額と比べて非常に大きな金額を納めなければならなくなるため、相続財産などの財産は、必ず正確に全てを申告しましょう。