「中ロ、共同声明出さず 首脳会談、かりそめの結束」
(『日経新聞』9月17日付1面トップの見出し)
向かって右手に座った習近平主席は、皇帝然として、笑顔の一つもなく、机上の紙に書かれたことを読み上げていた。
対する左手に座ったプーチン大統領は、まるで追い詰められた狼のような苦悶の表情で、イラつきながら落ち着きなく聞いている。
その両サイドに座った側近たちも、暗く俯いたままだ。
CCTVのアナウンサーは、両首脳は「核心的利益の相互支持を再確認した」と述べていた。これは、前回6月15日の両首脳のオンライン会談でも確認し合ったことだ。
アナウンサーはその例として、「台湾は中国の不可分の領土」であることを挙げていたが、「ウクライナはロシアの不可分の領土」とは言わなかった
今回の中ロ首脳会談は、9年半の習近平政権を経て、「中国>ロシア」というユーラシア大陸2大国の秩序が、今後定着していくことを予感させるものでもあった。
プーチン大統領はつくづく、「愚かな戦争」を起こしてしまったものだ。
それでも、『日経新聞』が付けた名文句「かりそめの結束」のまま、今後も中ロ関係が展開していくかと言えば、私はそうも思わない。
丸10年、習近平総書記の公の動向をウォッチしてきた私からすれば、今回の中ロ首脳会談には、
「来月の党大会が終わるまで待っていてほしい」という習主席のプーチン大統領に対する「暗黙のメッセージ」が込められているように思えてならないからだ。
むしろ、かつてのヨシフ・スターリン書記長と毛沢東主席のような友好関係が、今後とも続いていくと思われる。
当時の「ソ連>中国」という関係が、逆になってはいるが。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71875?page=4